第3章 出会い
そう、私は日系人だ。
叔父叔母は欧米人なので、アジア系の私はとても珍しがられる。
「そういうあなたは?欧米人?」
失礼な人に気を使う必要はないだろう。
失礼な質問返しをする。
「俺は雑種さー。」
「…犬か!
というか、いきなり人種の話とか、有り得ない!
君どこの子?そして、いくつよ?」
こんなやりとり、お茶会どころか人生でしたことがない。これでも私、かなりの貴族令嬢なんだけど。ジト目で少年を睨む。
「そんな堅いこと言うなって。年は14さー」
飄々としてるところや、さり気なく名乗らないところが全く信用ならない。
え、14歳なんだ
雰囲気や背格好からして、もう少し私と近いと思ってたけど…
「ふーん。私は18よ」
「お姉さんさね。俺と年が近いかと思ったさ。」
「…私、幼く見える?」
「俺は上も下もいけるさ〜!」
10〜40歳の間は守備範囲さ〜と、とんでもないことを言っている。
ねえ、何の話をしてるの?
冷めた目でドン引いた顔を向けるも、少年はケタケタ笑っているだけだ。
この時、本当にとんでもなかったのは少年ではなく私だった。
こんなやり取りを無意識に楽しんでしまっていたのだから。
「そういえば、日本文学といえば…」
彼の饒舌な話術にハマっていくのに時間はかからなかった。