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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》


「だって。お洒落しかったんだもん…」

「いつもドレス着てるだろ」

「今日は特別なの〜!」


すみれは鼻をズビズビ言わせている。これじゃあ風引いても可笑しくねーぞ。
ディックはスッとハンカチを出し、すみれの鼻に当てがう


「ほら、ちーん!」

「む、むぐ」

「大丈夫か?」

「…ん、ありがとう。
これじゃあどっちが大人か、本当にわからないね」


情ない、とすみれはしゅん…としているすみれがワン公だったら、絶対に耳が垂れている。あ、ちょっと見てみたい


「でもまさか。すみれがくれたハンカチで、すみれの鼻を拭くとは思わなかったさ。笑」

「えぇっ?!そうなの?!使ってくれて嬉し…じゃなくて!汚してゴメン!洗って返すから…っ!」

「いや、別にいーって」


洗って返さないと!と、すみれは恥ずかしがり、俺からハンカチを奪おうとする。恥ずかしがるポイント、ズレてね?

すみれには悪いが、このハンカチだけは渡せない

“やっぱ手作りなんて…”とか言って、既製品に替えられてしまいそうで怖い。いや、十分に有り得る


「ねえ!ディックってばー!」

「お菓子じゃねーけど、」


ディックはすみれの後ろに回り、

「きゃ…っ?!」


すみれに、抱きついた。

そして、すみれの首に腕をまわす。ディックの鼻を、すみれの黒髪がくすぐる


(あ。いい香りさ)


これは、シャンプーの淡い香りと
甘いお菓子の香り

あと、


(……すみれの、匂い)


すみれの匂いにつられ、思わず顔をすみれの髪に埋め、そして唇をつつつ…とすみれのうなじに寄せる


「ひゃ…っ?!」


すみれの体がビクッと震え、可愛らしい声が漏れる


(…やべ、もっと聞きたい)


見たい、触れたい

すみれの首に回していた腕の片方を、今度はすみれの腰に手をやる

「んっ…!」

すみれの口から、本人の意図せず甘い声が漏れる。すみれ自身も、いつもと違う自分の声に驚き、更に体が震える。

すみれの顔を盗み見れば。
顔を真っ赤に染め上げ、目は涙で潤んでいる。声を押し殺そうと、手で口を覆っていた。

そして、拒否の様子が見られない


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