第10章 トリック・オア・トリート《番外編》
「おいおい、ロード…まっ、それは追々な?」
「えっ?」
えっ、何、どうゆうこと?
「えぇ〜今すぐがいい〜!」
ロードは抱き着いているすみれの首を更に締める…く、苦しい!意外と力が強いっ
「だから。追々な?なっ、すみれ」
「っ?!」
突然話をふられるも、ロードに抱き締められているため、物理的に返事をすることが出来なかった。
ロードちゃんに、はたまた私に気を遣っているためか、ティキは否定をしない。
私、どんな反応したらいいの…?!
ぐるぐる、ぐるぐると思考していると、
「そうだ、すみれ」
ティキに呼ばれたと思ったら、ぐるんと視界が反転した。
「わっ…?!」
屈んでロードに抱き締められていたのに、一瞬で立たされティキの両腕が腰に回されている。軽く抱き締められた状態になっていた。
ど、とうしたら一瞬でこんな事になるんだろう?!
「子どもは子ども同士、大人は大人同士で。それぞれデートしようぜ?」
「そ、それぞれ?」
「そっちも少年と来てるだろう?さっき一緒にいるとこ見かけたぜ」
猫耳少年のお守りをしてただろ?と、ティキに問われ、ツキンと胸が痛む。
(……私とディックが並んで歩いてる姿は、恋人同士じゃなくて。お守りに見えるのか。)
すみれの視線は足元に落ち、深くうなだれる。
「え〜!ボクもすみれと遊びた〜い」
「またロードは今度、な?」
「やだ〜」
「と言う事で、すみれ。子どもは置いて行こうぜ?」
ティキはすみれの腰から両腕を離す。そしてすみれの手を取り、歩きだそうとした。
「まっ…待って!」
「ん?」
ディックは、子どもじゃないよ
「一緒に居た、男の子は」
お守りで一緒にいたのではない
「大切な、かけがえのない人なの。」
年下だけど、私の
「彼はっ、私の……ーーーーっ!」
好きな、人
と、言葉は続かなかった。
「待たせて悪かったさー!」
「ディ…ディックっ?!」
すみれとティキの間を割るように、ディックが飛び込んできたではないか。