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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》


「すみれの母ちゃんは、ホントに凄いさねえ!」

まだお菓子に釘付けなディックに、すみれは顔を寄せ1つのお菓子を指差す

「このカボチャのマフィンはね、ちょっと自信あるよ!」

「そうなんか!どれも美味しそうだけどな」

「このマフィン、お父さんが大好きで。ハロウィン以外のときも作ってたの。
久しぶりに作ったけど、美味しくできたよ!」

両親を思い出しながら話すすみれは、いつもよりはしゃいだ子どものようで。
とても嬉しそうに、楽しそうに話しているのに眉毛は僅かに下がっていて、ディックの目にはほんの少したけ、

寂しそうに見えた




「…すみれの両親に、お礼しなきゃな」
ディックはボソッと一人呟く

「ん?何か言った?」
すみれは聞き取れず、ディックに問う

「すみれ、ここでちょっと待っててな?」

「え?ちょ、ディック?!」

「すぐ戻るー!」

そう言うと、ディックはすみれをその場に残し、1人走り去ってしまった



「ちょっと、ディック?!」

すみれは慌てて追いかけようとするも、ディックは一瞬で人混みに紛れてしまい、あっという間に姿が見えなくなってしまった

「え、えぇ〜…」

くいっ

「?!」

一人でうなだれていたら突然服を引っ張られ、驚いて引かれた方を見ると、




「オネーサン、お菓子持ってるのぉ〜?
ボクにもちょおだい?Trick or Treat★」

見知らぬ少女に、袖を惹かれていた


「え、ええと…?」

「お菓子くれなきゃ、イタズラしちゃうよぉ〜?」

ツンツンで短髪のとても可愛らしい少女は、とんがり帽子を被り、黒いマント、そして箒を持っている。
すみれと同様に、魔女の格好をしていた。


「(か、可愛い…!!)手作りのお菓子しかないんだけど、それでも良かったら。ハッピーハロウィン!」

「ありがとぉ〜☆」

すみれは余分に持っていた手作りのお菓子を少女に渡す。

「それ。手作りだから、おうちの人に食べていいか聞いてから食べてね?」

「わかったぁー☆」

「おい、ロード!!」


可愛い少女と会話を楽しんでいたら、保護者が迎えに来たようだ。

わ、私こんな格好だけど、不審がられないかな。大丈夫かな


「勝手にうろちょろすんなって…すみれ?」
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