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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》



「えっ、俺も仮装すんの?」

「もっちろん!私だけなんて、恥ずかしいじゃない!」

「理由そこ?」

「…それもあるけど、ディックと一緒にハロウィンを楽しみたかったから!」


本当の理由は、ディックにハロウィンの楽しさを知って欲しかったから。


「黒猫のディック、可愛格好いいよ!服装とよく似合ってる♪」

「可愛…てか、服装はすみれにお願いされたから、要望通りにコーディネートしてきたんさ」


そうなのだ。
すみれはディックにとあるお願いをしていた。






『そうだね、じゃあハロウィンの日は一緒に出かけよう!』

『おっ!すみれも乗り気になってきたな♪』

『せっかくだもん。楽しみたいじゃない!
だから、当日はーーーー…





黒を基調にした服を着てきてね!』






「…なるほど、こういうことだったんか。」

「ふふふ♪よく似合って良かったあ!」


ディックは白いワイシャツに、黒いベスト。黒のスキニーパンツはブーツイン。そして黒いストールを巻いていた。
すみれに装着させられた猫耳と尻尾があれば、どう見ても黒猫だ。

ましてや、魔女とセットなら



「俺はすみれの、ペットの猫さね」

「ペットというか、相棒?魔女と言えば黒猫だと思って!」

ほら、街に行こう!と、すみれはディックの手を引いて歩き出す。街の方からは花火がドンッ、ドンッと上がったり、人々の賑わう声が聞こえてくる。



「やっぱり、お祭りはわくわくしちゃうね」

「俺、仮装なんて初めてさ!」

猫耳と尻尾なんて付けられて、ディックが嫌がるか少し不安だったが、楽しそうにしていて安心した。

「この間、仮装したことないって言ってたから、一緒にしたかったの」

「俺の仮装の準備まで、大変だったろ?」

「ううん、全然!
昔、お母さんが作ってくれた物だから」

「へっ?!そうなん?!」

「そうなの。ディックが付けてる猫耳、昔は私もつけてたよ!」

ディックは吃驚したかと思えば、わたわたと焦り猫耳カチューシャを外した。




「そんな大事なもん、俺が付けていいんさ?」

「…むしろ、なかなか使われる機会もないし、付けてほしいな!」

使ってあげて?とすみれがお願いすると「それなら…」と、ディックは自ら猫耳カチューシャを付けた。
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