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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》



ディックが、“可愛い”って。




火照る頬と緩む口元を隠すために、キュッと口を結び下を向く。

ああ、嬉しいなあ。

(頑張って、よかった…!)





「俺はあんなのも好きさ♪」

「ん、どれどれ?」


ディックが指差す方を、うきうき気分で顔を上げる。そこにあったのは、たわわで大きな…








胸。


「…」

「マジでいい眺めさ〜!!」

たわわで大きな胸元を惜しげも無く晒し、お見脚は網タイツで色気をばっちり醸し出す、バニーガールのお姉様方がいらっしゃった。

「……」

「やっぱ仮装は…って、ありゃ?すみれ?」


ええ、ええ。そうですよね。
言葉も出ませんわ。

私だって、ボンッキュッボンッの綺麗なお姉様は好きですよ。

すみれは自分の胸に視線を落とすも、小さな2つの山から自分の爪先までしっかり見下ろすことができてしまう。

あ、なんか虚しい。

 


「…」

「おーい、すみれ?」

ディックはすぐ隣にいるのに、私を呼ぶ声が遠くから聞こえる気がする。

さっきまでは、あんなに嬉しかったのに

あ、今度はなんだか腹が立ってきた。

(そうだ!ディックにあれをつけちゃお…!)




すみれはごそごそと、カボチャのトートバッグの中を探り出す。

「おーい、すみれさん?もしかして、ヤキモ…」

「えいっ!」

「おわっ?!」

すみれは突然、ディックの腰に抱きついた。




「なんっ!?すみれ?!」

「ちょっと動かないで!もう少し…っ」

「いやいや!外さここ!!大胆過ぎさ?!」

「…ねえ、何を言ってるの?よしっ、でーきた♪」

「へ?」

すみれが離れたと思ったら、ディックの後ろには…




「尻尾?」

「そう!これも、はいっ!」

カポッ

「どぅわっ?!なんさっ?!」

すみれに、頭に何か付けられた。
頭を触ると、そこには…



「…耳?」

「そうだよ!いい感じ!」

黒くしなやかな尻尾に、獣耳。
これはもしや…




「……黒猫、さ?」

「ご名答〜!ディック、似合ってるよー!!」


驚いているディックとは正反対に、すみれはとても楽しそうに、きゃっきゃとはしゃいでいる。

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