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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》



10月31日、ハロウィン当日。





(…変、じゃないよね?)

すみれはディックとの待ち合わせ場所にて、何度も前髪をイジる。

(だって、今日はハロウィンだもの!)

ぐっと握り拳を作り自分自身を鼓舞するのも、何度目だろうか。普段はドレスばかり着ているが、今日はハロウィンの衣装を纏ってきた。

(それに、どうしても着たかったし…)


作った握り拳を、そっと解いて自分の胸に当てる。


(今日はハロウィンだから、仮装してる人なんていっぱいいる!)

再び、すみれは呪文を唱えだす。


大丈夫、大丈…「すみれ?」








「わあああっ!」

「ええええ?!急になんさ?!」

心の準備が出来ていなかったため、すみれは思わず叫んでしまった。



「び、ビックリするでしょっ?!」

「普通に声かけただけし!それに今日のすみれ、いつもと違いすぎて、」

「っ!」

ディックはすみれを頭のてっぺんからつま先まで、何度も目線を往復させる。ディックが目を白黒させるのも仕方ない。今日のすみれは普段からは想像できない格好をしている。

今日のすみれは、

「…魔女、さ?」

「う、うん」

黒のミニワンピースに、頭には黒のとんがり帽子。クモの巣柄の黒のロングカーディガンに、パンプキンのトートバッグを持っていた

黒のミニワンピースはレース地で、袖なしタンクトップ。スカートの下には白いパニエを履いてボリュームを出している。
普段晒される事がない脚は、白黒ボーダーのニーハイソックスと、ショート丈のブーツを履いていた



(ディックの、視線が恥ずかしい…っ)

化粧も衣装に合わせていつもより濃く、ストレートな黒髪は毛先が少し巻かれ遊ばせていた

「へ、変だよねっ!でも、ハロウィンだしっ!ゆ、許される、よねっ」

ディックの視線に耐えられず、すみれは矢継ぎ早に言葉を発する

「変っつーか、」

「っ」




「…似合ってるさ」

「ほ、ほんと?」

ディックから発せられた台詞が、すみれの想像とは異なっていたので、思わず聞き返してしまった


「ほんと。可愛いさ♪」

「あ、ありがと…っ」






“可愛い”


ディックのその一言で、先程の私は何処へやら。舞い上がってしまいそうだ
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