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49番目のあなた【D.Gray-man】

第10章  トリック・オア・トリート《番外編》


「うーーん。…俺は仲良くなった奴と、街をぶらぶらしたくらいさあ」

「仮装した?」

「うんにゃ、してない。国や街を転々としてたし、ハロウィンの参加も飛び入りって感じだったさね」

「そっかあ」


ディックはおじいさんに、お家の事業について学んでいるらしい。
ディックから直接そのように聞いたわけではないが、よく「じじいが〜」と話しをしてくれる。


(…そうだよね)

ディックは忙しいから、あんまり季節の行事に参加する機会も少なかったんだろう

(また、他の国や街に行くのかなあ)

ツキン、とすみれの胸が痛む。
いやいや、そんないつかもわからないことを悩んだって仕方ない。
すみれは頭をふるふる振る。

今はーーー…




「ハロウィンって、収穫祭や先祖を迎える日だから、すげー賑やかじゃん?街をぶらぶらしてるだけでも充分楽しいさね〜」

「そうだね、じゃあハロウィンの日は一緒に出かけよう!」

「おっ!すみれも乗り気になってきたな♪」

「せっかくだもん。楽しみたいじゃない!
だから、当日はーーーー…」

すみれはディックに、とあるお願いをした。




ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー




「よいしょ、っと!ふう。確かここに…」

ディックといつもの勉強会兼お茶会が終わり、すみれはある物を探すため屋敷の倉庫に足を運んだ。

「あっ、あった!」

目当ての物は、だいぶ年季の入った段ボール。それを開けると

「わあー!懐かしいー!」


ハロウィングッズがわんさか出てくるではないか。


「ふふっ。いつぶりだろう、引っ張り出すの」

段ボールから年季を感じるものの、中身は一つ一つ丁寧に保管されていたため、年季は感じられなかった。
中身はハロウィンの置物や装飾品、母が作ってくれた衣装、ハロウィン用のレシピまで残っていた。


「この衣装、流石にもう着れないかなあ」

普段独り言は言わないが、懐かしさと楽しさで胸がいっぱいになり、感想が次から次へ口から溢れ出す。

「えっと、確か最後に着た衣装がこの辺に…」

段ボールの中をごそごそと探し出す

「あった、あった!…ディック、楽しんでくれるといいなあ」

すみれは必要なものを両手に抱え、部屋を後にする。ディックとハロウィンを楽しむために、準備に勤しむのであった。
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