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49番目のあなた【D.Gray-man】

第9章  終の始まりの鐘が鳴る



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私は、どうしたら良いのだろう。
考えなければいけない事が多すぎて、わからない。

色んな情報を知りすぎて、頭も気持ちも追いつかない。



夜空を見上げると、そこには満天の星達が瞬いている。


(私って、なんて薄情な人間なんだろ)


人を犠牲にしているかもしれない事を
頼れる家族なんて存在しなかった事を知って


(涙1つ、出ないなんて…)



このまま 消えてしまいたい










「やあ!1人かな?」

「僕達と踊らない?」


突然、背後から男性二人の声が聞こえた。
すみれは咄嗟に、仮面を被り直す。


「あ…ちょっと、気分が優れなくて」

「それはいけない!大丈夫?」


男達はすみれの側に寄り、一人はすみれの肩に、一人はすみれの腰に手を回す。

「…っ!(な、なに?!)大丈夫、ですのでっ」

すみれはやんわりと、男達の手を払う。が、


「まあ、そんなこと言わずに」

「こっちおいでよ?」


すみれはじりじりと、男達に距離を詰められていく。男達はフレンドリーそうな笑みを口元に浮かべているが、仮面の奥の瞳に気づく。


笑って、いない。


「ーーッ!」



タッ

すみれは怖くなり、ドレスが翻ることも気にせず走り出す。「おい、待て!」と後ろから男達の声と、追いかけられている足音がする。


(はあっ はあっ)


すみれは仮面舞踏会の華やかな明かりとは逆の、暗い庭園に向かって走る。しかし、男達は簡単に追いつき、すみれの腕を掴む。


「はっ、離してっ」

「はは、自分から暗がりに行くなんて。







誘ってるの?」


ぞわあ、と鳥肌が立った。






ドサッ

男達に押さえつけられ、手入れされた芝生の上に倒される。すみれは恐怖のあまり、声を出すことができなかった。


(た、たす…!!)


助けて!!と、思った瞬間。
脳裏に過ぎったのは、



助けてくれる家族なんていなかった事と、
“危ない事業”で命を落としたかも知れない、人々の顔ーーーーーー








ああ




助けて、なんて


言えないや。
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