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49番目のあなた【D.Gray-man】

第9章  終の始まりの鐘が鳴る




* * *






「……(はあ)」



現在、午後11:45。


仮面舞踏会には私だけ招待され、今は一階のバルコニーにて一人で休憩をしている。

外灯は少なく、庭園の美しさはわからないが、代わりに夜空に瞬く星の煌めきが、一層際立っていた。


(私一人なのだから、仮面は外そ…)

スッ…


すみれのために準備された仮面は、目から鼻にかけて上半分のみを覆う仮面。

すみれの美しい黒髪が映える真赤なドレスに合わせた仮面は、ゴールドに塗られ、宝石が散りばめられ、大きな赤い造花のバラが一輪、存在感を放つように左上につけられていた。


いつもならこんな夜分遅くまでパーティに出席はしないが、自分の…いや、叔父と叔母の屋敷に帰る勇気が、無かった。



屋敷を出る前の、叔父と叔母の会話を思い出す。




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今日の仮面舞踏会は、すみれ1人招待された。


(準備も整ったし、二人に挨拶して行かなきゃ)

ノックをする為、腕を伸ばしたとき




『…あの子は仮面舞踏会で、いないうちに、…』

『そろそろ結婚させて、財産を…』



二人の、話し声が聞えた。
すみれは扉の隙間から漏れる声に、耳を澄ます。



『…もう相続金も無いし、…、嫁ぎ先で…!』

『すみれの親は、アクマの…に、ならなかった…』



一体、何の話?


(私がいないうちに、何をするの?結婚させて財産を得る??)


一番聞き捨てならなかったのが、


(私の両親が、アクマ?悪魔?に、ならなかった…?)

アクマとは、あの悪魔だろうか?
いや、まさか。そんな御伽話なんて…

もっと話し声は聞こえないだろうか。すみれは更に扉に近づこうと、


コツ


ヒールの音を鳴らしてしまった。


『?!、誰だ?!……すみれか、何しておる?!』

叔父と叔母の視線が扉へ向く。

『あ、あの。これから、仮面舞踏会に行くので、挨拶に…』


『!!、早く、行きなさい!!』

『っ』





すみれは逃げるように、屋敷を出て行った。

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