第9章 終の始まりの鐘が鳴る
すみれは吐き気を押し殺して、問いてみた。
「…叔父様、叔母様」
「なんだい?すみれ」
「私は、いつからお二人の養子になったの?」
「まあ。そんなこと、
あなたがこの家に、初めて来た時からじゃない」
思わず聞いてしまったことを、後悔した。
何故、こんなことを私は聞いたのか。
戸籍謄本で確固たる真実を、見たではないか。
いや 違う
(…本当は少し、期待していた。)
“実は戸籍は入ってないの。あなたが大人になって、私達の子になるか決めて欲しくて”ーーーー
とか
“すみれが私達の子になると、我が事業を継ぐだろう?負担になると思って、まだ”ーーーーー
とか。
私はそうゆうのを、期待していたんだ。
戸籍に入ってなくても、家族だよって。
しかし、僅かな淡い期待は無惨にも散ってしまった。
その反面、
危ない事業に手を出している、二人の子どもではない。
家族ではない事に、安心してしまった自分がいた。
「…ッ、私!今日の仮面舞踏会のために、早めに休んで備えるね?」
すみれはガタッと席を立ち、叔父達が何か言う前に部屋から飛び出した。
バタン
すみれは扉を閉めると、ズルズルとその場に座り込んでしまった。