第9章 終の始まりの鐘が鳴る
(えっ、斜線を引かれているのは、亡くなっている人…?)
そんな 馬鹿な
バッ
すみれはデスクに山積みになっている地方新聞のお悔やみ欄を広げ始めた。
謎の顧客リストと照らし合わせていく。
「この人も、この人も!…この人も!!」
斜線が引かれた顧客名は、皆亡くなっている。
「……この人、も?」
元お見合い相手の名前も同様。斜線が引かれ、お悔やみ欄に名前が記載されていた。
斜線が引かれている人の数が多ければ多いほど、その月は事業とは別の謎の振り込み金額は、更に巨額となって振り込まれていた。
(人が亡くなると、お金をもらっているの…?)
叔父と叔母は事業以外に、一体何をしているの
二人は人が亡くなると、お金を得ているのーーーー?
二人?
私はその二人に養われて、生きている。
ましてや元お見合い相手達は、私と関わったせいでーーーー
叔父、叔母そして私。
この3人で、人が亡くなるような“何か”をしているのか?
想像、してしまった。
私の足元に、数え切れない程たくさんの亡くなった人達の屍が山となり、そのてっぺんに、私がいる姿を。
「…ぃゃ…」
自分の足元に、元お見合い相手の亡骸が見えた気がした。
「いや…っ」
彼らの未来を奪い、こんな姿にさせたのは……
私、だ。
「いやああああああっ!!!」
あの令嬢に言われた事を思い出す。
“危ない事業に手を出した”ーーーーー
どうやらそれも、事実なのかもしれない。
すみれはガクッと膝から倒れ込み、その場に座り込んでしまった。