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49番目のあなた【D.Gray-man】

第8章  前兆




「なんさッ?!」


バッッ!!



ディックは戦闘態勢で身構える。


(照明が落ちるなんて、戦火が及んだか?!
いや、建物の振動等は感じられなかったはずさ!!)


(ジジイがここに居ない今、出来事が起こるさ?!……………不味いッッ!!)





(すみれ!!!!)



ディックは思考を巡らせ、客間の扉へ走りだそうとするーーーーーーーーーーー































「…ハッピバースデー、トゥーユー。

ハッピバースデー、トゥーユー!」


あの有名な(というか誰でも知ってる)バースデーソングを歌いながら、すみれが部屋に入ってきた。
すみれの手元には、灯った蝋燭が刺さった、小さめのホールケーキがあった。


「ハッピ、バァースデー♪ディア、ディックー!」

「……」

すみれは、呆然としてる俺の目の前に、ケーキを置く。

スポンジ生地に生クリームが塗られ、星やハート等の様々な形にカットされたフルーツが、ふんだんに飾られている。
そして、チョコプレートには少し歪んだ字で、

“HAPPY BIRTHDAY DICK”


と、書かれていた。
そのケーキは一目瞭然、手作りであることがわかる。


「ハッピバースデー、トゥーユー!

お誕生日おめでとう〜!!」

「……………おう」


拍子抜けとは、正にこの事であろう。



「あれ、反応薄くない?!あっ!はい、火を消して!」


蝋が垂れちゃう!とすみれに言われるがまま、ディックはフーッと息を吹きかけ火を消す。

「お誕生日おめでとう〜!!」




すみれは一人で、盛大な拍手をしてくれた。
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