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その秘密は図書室にて

第4章 意外な一面


「えっ!?」
思わずすっとんきょうな声を上げてしまい、瑞希は口を抑える。危ないここは図書室だ。
連れて来られた堀口くんはというと、どこか苦笑い…といった表情だ。多分由香里に無理矢理引っ張られてきたのだろう。
「大丈夫。堀口くんは私と同じくらい数学できるから!ねぇ?」
「え、凄い!!」
当然のように自分を下げない由香里も由香里だが、由香里と同じくらいというなら堀口くんも頭がいいのだろう。
「いや…でも……」
「この子赤点ギリギリなのよぅ〜なんとかお願いできない?じゃ、宜しくね〜」
完全に呑み込まれてしまっている悠弥を強引に瑞希の隣に座らせると、「またね〜」とでもいうように手をひらひらさせて由香里は行ってしまった。
………そう、全てはこれが始まりなのだ。

「ねえ、人の話聞いてる?聞いてないよね?聞いてても覚えてないの?さっき言ったばかりだよね?……だから手順が違うって言ってるでしょ?」
普段おだやか〜な喋り方の堀口くんからは想像出来ないほど淡々としている。尚且つ怖い。
なのに、図書室ということもありそれが耳元で囁くように(どうしても)なってしまうため、どうも心臓に悪い。
「ほら、こう解くの、分かった?」
くいっと顔を除きこまれる。
瑞希は慌てて目をそらす。そして俯く。
ただ教わってるだけなのに、必要以上に意識してしまっている。
(だってこんなイケメンにこの状況は誰だってアウトでしょっ……!!)
瑞希は心臓が持つうちに、この時間が過ぎることを願った。
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