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その秘密は図書室にて

第4章 意外な一面


「ねえさっきも言ったよね?どーしてここで展開しちゃうの?……ほら式が逆!ねえ馬鹿なの?」
怖い。ものすごく怖い。
堀口くんのキャラが崩壊してる。
瑞希はその日、悠弥に勉強を教わっていた。
何故こんな状況になったのか…全ては由香里のせいだ。

初夏が近づくと、共に近づいてくるのが前期中間テスト。なかなか嫌な季節だ。
「ゆ、由香里様…私にどうか数学をお教え下さいっ…!!!!!」
瑞希が由香里に懇願しているのには訳がある。
瑞希にとって数学とは最大、いや宿命の敵である。どのくらいかといえば、ギリギリ30点を取りガッツポーズするくらいと言えばスムーズに伝わるだろうか?
そんな瑞希と違い、由香里は毎回高得点を叩き出している。つまり頭がいい。
「え〜しょうがないなぁ、心優しい由香里様は友に手を差し伸べようではないか!」
由香里が演技がかった声で承諾し、その日の放課後2人で図書室へ行った。
テスト近くの図書室は普段より勉強しに来る人が多くなる。2人は隅の席に腰を下ろした。
「ええっと…で、聞きたいのはどっからどこまで?」
「ここから…………ここです。」
「って、全部じゃないの!」
勿論、図書室で大声はいけないので、小声でやり取りをする。
しばらく教わったころ、由香里のスマホのバイブレーションが鳴った。
「あー…ごめん瑞希、私もう行かなきゃだ」
「どうしたの?」
「体育祭の準備よ。……ったく、夏休み前にやるからテスト前ギリギリも準備しなきゃなんないのよねー。まあ、文化祭と時期が重なるよりマシか」
由香里はぶつぶつ言いながら席を立つ。
そういえば由香里は体育委員だったっけ。
「次はいつ空いてる?」
瑞希が尋ねると、由香里はしばらく「うーん…」とうなり、はっと顔をあげると、
「いいこと考えた。瑞希、ちょーっと待っててね?」
「は?」
語尾にハートマークでもつけるように瑞希の耳元で囁くと、由香里はふらりと何処かへ行ってしまう。
……なんとなく、由香里が楽しんでるように見えて嫌な予感がする。
「じゃ、堀口くん!瑞希の数学よろしくね!」
由香里がふらりと連れてきたのは……
まぎれもなく堀口くんだった。


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