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その秘密は図書室にて

第4章 意外な一面


「おいしいっ…!!!」
「だろ?ここのメロンパンは間違いないんだ。しかもボリュームがあるのに安い!」
おおぶりなメロンパンをほおばる瑞希に、悠弥が自慢げに言う。
「堀口くん、小さい頃からこのお店よく来てたんだよね?家族で買いに来たりとかしたの?」
瑞希が尋ねると、悠弥は微かに目を伏せる。
「…まあ、そうだね。よく来てたよ」
(あれ、聞いちゃまずかったかな)
普段から悠弥は自分のことをあまり話さない。だからこそ少し興味もあったのだが、口調も明らかに歯切れが悪くなっている。
「へぇ〜、じゃあ思い出のあるパン屋さんなんだね!いいなぁ〜そういうの」
もう少し知りたい気持ちもあったが、瑞希はここら辺で話を切ることにした。きっと話したくないなにかがあるんだろう。
そこを聞けるほどの間柄でも今はない。
「倉本さんにはないの?こういう所」
「うーん…どうだろう?あんまりないかなぁ」
残り少なくなったメロンパンを囓りながら瑞希は答える。
(なんかいいな、こういうの)
帰りに寄り道して…なんて部活の活動が少なく、尚且つ地元の友達があまり多くない瑞希はほとんどしたことがなかった。それにまさか男の子とだなんて。いかにもドラマなんかの高校生って感覚だ。
(まあ、そういった関係な訳ではないんだけど…)
それでも、もう少しこの感覚に浸りたくて、小さくなったメロンパンをちびちび食べた。
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