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その秘密は図書室にて

第3章 歪んだ関係


その日からその子らのグループに私は仲間外れにされた。
その子のグループにいたので、特別仲良い子もいない。その子は中心的存在でもあったため、由香里がクラスで孤立するのはあっという間だった。
それでも、瞬はちょくちょく声をかけてくれた。
それが気に食わなかったのだろう。その子らのいじめは徐々にエスカレートしていた。
上履きは隠される。机の上には死という文字。
「ちょっと可愛いからって調子乗ってるよねー」
「一宮くんから離れなさいよ!!」
あんた達のほうが調子乗ってるしあたしから離れなさいよ。
いつしか、教室に居られなくなったときは図書室に行くようになっていた。
それを知ってか、いつものように図書室へ逃げてくると、瞬がそこにいた。
「大丈夫なのかよ…?」
なによ、今あんたのせいでこうなってるのよ。
あんたのせいであたしはいじめられてんのに。
「…あんたに関係ない」
「関係あるだろ!?…俺のせいなんだろ」
「わかってるなら近づかないでよ!!」
瞬が由香里の声に怯む。
「あんたのせいでいじめられて、嫌な思いして……なのに、あんたがわかったような口きかないでよ!!」
目から涙がこぼれる。それでも瞬をきっと睨む。
「あんたなんか…大っ嫌いよ。顔も見たくない」
由香里は顔を伏せた。瞬は何も言ってこない。
なによ、黙ってないでなんか言いなさいよ。
瞬をもう一度睨もうとしたとき、
「あっ…」
瞬ははっきりわかるほど傷ついた顔をしていた。
なんで…瞬が傷つくの。
由香里は言い過ぎたと思ったが、言ってしまった言葉は帰ってこない。
由香里は図書室を出た。
それから、瞬と言葉をかわすことはなかった。

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