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その秘密は図書室にて

第3章 歪んだ関係


図書室に着いた。
恐る恐るドアを開けるとそこにいたのは、
「…瞬」
「由香里…」

とっさに逃げようとした由香里の腕を瞬が素早く掴んだ。
「…離してよ」
「何で」
「嫌いだから……」
そんなこと言いたくないのに。
思っていることを言えずにいる自分に嫌気がさす。
「だから離してよ…」
しかし、瞬はより由香里の腕を強く握った。
「じゃあなんで昔も今も、そんな悲しい顔すんだよっ…………!!」

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校外学習は班行動が多い。
その子は瞬にやたらベタベタとくっついていた。
(あーあ、瞬ったら完全に嫌がってるあれ)
かろうじて笑顔を作っているものの、なんとかして逃れようとしているのが見え見えである。
(そりゃあれだけくっつかれたら逃げたくもなるよな〜)
瞬を哀れに思いながら、何事もなく校外学習が祈ることを願った。
…しかし、その願いは届かなかった。

校外学習の次の日、由香里が教室に着くと、その子が目の前につかつかと歩いてきた。
「あんた、約束破ったわね。あんたなんかいなくなればいいっ!!」
由香里はなんのことかさっぱりわからなかった。
それでも、噂でようやく理解した。
その子が瞬に告白し、振られた。
振られた理由が、私だと……。
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