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その秘密は図書室にて

第3章 歪んだ関係


由香里は不安を抱えながら図書室へ向かった。

『私に考えがあるの』

瑞希の顔は真剣そのものだった。
私にあそこまで真剣に向き合ってくれるような人っていたっけな…。
正しい友達の作り方なんてとっくの昔に忘れた。別に必要ないとも思っていた。
…瑞希と会うまでは。
ふと、瞬の顔が頭をよぎる。
あいつも真剣に向き合ってくれていたな。
そんな人を私は突き放した。
だから、元に戻ろうだなんて言う資格は私にない。

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小学校の頃幼馴染だった私と瞬は、仲がよくて何かするときの班も同じことが多かった。
そんな5年生のある日、クラスの女子から声をかけられた。
「樫野さん、校外学習の班一緒に組まない?」
その子はクラスの中心的存在だったし、断る理由もなかったため私はあっさり応じた。
その子はどうやら瞬が好きなようだった。私に声をかけたのもどうやらそのためらしい。
「ぜえっったい、抜け駆けはなしだからね!!!」
その子のグループの中でよく言っていた言葉。小学生によくあるたわいもない約束。
その言葉は、今となっては私に全て向けられていたのかもしれない。
校外学習の班は、瞬とも同じになった。
勿論、誘ったのは私だ。
私は校外学習が終わっても平和な毎日が続くと思っていた。
思っていたのに…。
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