• テキストサイズ

その秘密は図書室にて

第1章 エピローグ〜出会い〜


思わずぎゅっと目をつぶる。
と、がしっと抱きとめられた感触がした。
「………大丈夫?怪我はない?」
薄っすら目を開けると、抱きとめてくれたのは……男の子だった。

てか、かっこいい……。
つやつやと濡れたような黒髪、二重でどこか優しそうな目………。

そこまで考えて、今の状況にハッとする。あわてて彼から飛び退くと早口で言った。
「あ、ありがとうございます…怪我も大丈夫そうです」
「なら良かった。……君、図書委員だよね?1人で作業?」
「?ええ、そうですけど…」
そもそも一体誰なんだろこの人。
なんで私が図書委員だってこと知ってるの?
あ、こんな時間に1人残ってるか……
「1Fの堀口悠弥。俺も図書委員なんだけど……?」
瑞希は悠弥の言葉にポカンとした。
図書委員?……こんな人……いた……?1F………っ!
「ああっ!毎回集まりサボって仕事してない人!?」
「集まりは行かないけど、別に仕事をサボってはないよ?」
悠弥はすこし唇を尖らせると、
「"放課後の貸し出し"誰がやってると思ってる?」
「えっ…!」
そういえば確かに、放課後の貸し出し担当は決めていない。
だから担当があるのは平日の朝出席前と、お昼の間の二回だと思っていた。
「俺が先輩と先生に交渉してね?放課後の貸し出し引き受けるかわりに、集まりにでなくていいことになってるの。」
そう言うと悠弥はにっこりと笑った。
「まあ今日は用事があったから遅くなっちゃったんだけど………よいしょと」
瑞希が落とした本をひょいっと広い手で少し払うと、積み重ねていた古本の上に置いた。
「なにしてるの?ほら、えっと、」
「倉本瑞希ですっ!」
「倉本さん、仕事仕事!ちゃっちゃと終わらせよう!!」
そう言うと、悠弥は黙々と作業を始めた。
名前を聞かれて我に返った瑞希もあわてて作業をする。

堀口悠弥くん……イケメンで、優しそうで……真面目そうに見えるけど、よくわからない人だなぁ。

横目でチラリと見てみる。さっきから真剣な眼差しでくるくる動いている。
よーし、私も頑張らなくっちゃ!
瑞希はそう意気込むと、作業に没頭した。

/ 46ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp