第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
「今年度雄英体育祭1年の全日程が終了!それではこれより表彰式に移ります!」
表彰台に上った3名の生徒。中でも一番目立っていたのは、
「んん!んん!!」
無理矢理拘束された爆豪くん。今回の決勝戦で納得がいかなかったようで暴れていたらしい。
「それではメダル授与よ!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!」
「ハーッハッハッハッ!!」
「私がメダルを持って「我らがヒーローオールマイトー!」きた~!」
オールマイトさんの派手な登場と共に決め台詞を言うタイミングとミッドナイト先生の紹介が被ってしまったが、すぐに授与式に入った。
「常闇少年おめでとう!強いな~君は!」
「もったいないお言葉」
「ただ、相性差を覆すには個性に頼りきりじゃダメだ。もっと地力を鍛えれば取れる択が増すだろう」
「御意」
なるほど、こうやってオールマイトさんからのアドバイスを頂けるという事なんだ。ヒーロー科の生徒たちにとってはこれ以上の光栄はないだろう。
次は轟くんの番だ。
「轟少年おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのはワケがあるのかな?」
「緑谷戦でキッカケをもらってわからなくなってしまいました。あなたが奴を気にかけるのも少しわかった気がします。俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃダメだと思った。清算しなきゃならないモノがまだある」
「うん…顔が以前と全然ちがう。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる」
「はい…」
轟くんはいつにもまして静かにオールマイトさんに返事をしていた。今は難しいかもしれないけど、彼は彼なりに何かを考えている事があるのだろう。表情はどこか穏やかに感じた。
「さて爆豪少年!…っとこりゃあんまりだ。選手宣誓の伏線回収見事だったな」
「オールマイトォ…こんな1番なんの価値もねえんだよ!世間が認めても自分が認めてなきゃゴミなんだよ!!」
「うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。メダルは受け取っとけよ。自分の傷として!決して忘れぬよう」
「だからいらねーって!」
メダルを受け取る事を拒否している爆豪くんの表情は怒りが頂点に達したかのようだった。仕方ないと判断したのか、オールマイトさんは彼の口に無理矢理メダルを加えて事を済ませた。