第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
肌がほぼ変色されている状態で倒れた緑谷くんは、保健所へ担がれていく中、会場の補修タイムが設けられていた。
(緑谷くん、大丈夫、かな…)
私が轟くんの元へ無事たどり着けたのも、今回の試合を通して轟くんの炎を引き出してくれたのも緑谷くん存在があってだ。自分ではできなかったことをやり遂げてくれた緑谷くんには、会ってきちんとお礼をしないといけないなと思った。
(今は流石に行かない方がいい、よね…)
気持ちとしてはすぐにでも感謝の言葉を述べたいが、さすがに今回の試合で限界だっただろうし、日を改めることにした。
それ以降も個人戦はずっと続いていた。様々攻防戦が繰り広げられる中、轟くんの顔つきが明らかに違っているがわかった。
しかし、緑谷くんとの試合以降は、炎を使う瞬間はなく、あっという間に飯田くんとの戦いに勝利していた。たまたま使う機会がなかっただけなのか、それともまだ少し心残りがあるのかが気になった。
最終的に体育祭の決勝戦は爆豪くんと轟くんになっていた。隣にいる理央ちゃんはついに最終決戦という事で楽しそうにしていた。
「結局こうなるのか、やっぱ実力ある奴らが残るのね」
『もう決勝戦なんだね、』
「沙耶、どっちが勝つと思う?」
『どう、だろう‥‥実力は互角だと思うけど…』
お互いの戦闘スキルは高い。だから、予想をするのが普通に難しい。
「轟があの「炎」をどう使うか次第よね~ 氷と炎両方とも使われたらたまったもんじゃないし、」
『‥‥うん、』
やはりそれにもよるのか、と彼女の言葉を受け止めた。轟くんはこの試合どういう風に挑むのか。それを知るのはこの後すぐだった。
《雄英高体育祭もいよいよラストバトル!1年の頂点がこの一戦で決まる!いわゆる決勝戦!ヒーロー科轟焦凍VSヒーロー科爆豪勝己!今、スタート!!》
先行でいきなり大規模の氷結を出す轟くんに対し一つ一つの氷を砕き裁いている爆豪くん。
「クソがァ!!!」
《轟いきなりかましたァ!早速優勝者決定かァァ!?》
氷結で爆豪くんが見えない。しかし徐々に中から爆音が響いたと思えば、爆豪くん自身の爆破で大規模な氷結を打ち砕いてみせた。
(すごい威力…)
そう思うのも束の間、咄嗟の急接近で攻撃態勢の轟くん間合いに入った爆豪くんは、轟くんごと放り投げていた。