第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
スタートの合図と共に、轟くんの氷結が地面へと広がり、早いスピードで緑谷くんに近づこうとしていた。
「SMASH!!」
《おぉ~!緑谷轟の攻撃を破ったァ!》
まるで待っていたかのように緑谷くんは中指からの衝撃破を放つ。あまりの風圧により氷は砕け散り、観客席までその風圧が行き届いていた。轟くんの個性と互角に並ぶほどの力に圧倒されていた。しかし、
(‥‥緑谷くんの指、)
心操くんの時と同じ、彼は攻撃の反動で中指にダメージが残っており、反対側の手で手首を支えていた。リスクを背負って戦うつもりなのだろう。
「SMASH!!」
《また破ったァ!!》
引き続き氷結で攻撃を仕掛ける轟くんに、緑谷くんは薬指から放たれる衝撃破で氷結を砕いていく。同じ攻撃を繰り返しているが、緑谷くんは何かを探ろうとしているのかもしれない。
「すべて終わらせてやるよ。」
《轟、緑谷のパワーに怯むことなく近接!》
次の瞬間、轟くんは氷結の道を作って緑谷くんの元へ接近しようとしていた。
「ちっくしょぉお!!」
右手を諦めて左手の中指を使って攻撃しようとするも、轟くんの接近戦によって塞がれる。轟くんの氷結は無事回避したが、緑谷くんの後を追い、彼の足に付着し動きを封じていた。
緑谷くんは指ではなく、拳でそれらを打ち砕こうとしていた。威力は先ほどより増していた。それでも、
「さっきよりずいぶん高威力だな。近づくな…ってか?守って逃げるだけでボロボロじゃねぇか」
轟くんは先ほどの攻撃も読んでいたのか、周りに囲っている氷結が緑谷くんの攻撃を防いでいた。緑谷くんの左手と腕はダメージがあまりに酷く、思わず自分は顔をしかめていた。対する轟くんは…あれ…
(…震えが、)
轟くんの腕や顔に氷の一部が付着しているのも気になる。最初はそんな事なかったのに…個性を使い続けているから?
「悪かったな…。ありがとう緑谷、おかげで奴の顔が曇った」
体調とは裏腹にどこかを目移ししており、その視線先にエンデヴァーさんがいた。
「その両手じゃもう戦いにならねぇだろ。終わりにしよう」
《圧倒的に攻め続けた轟!とどめの氷結を!》
最後だと言わんばかりに放つ氷結の勢いに緊張感が走る。その時、
「どこ見てるんだ!」
「ッ…!」
緑谷くんの言葉と共に氷結が破壊されていた。