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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】



「デクの野郎とつるんでっからなテメェ…。何か企みあるとは思ってたが…」
「一撃て…」
「フゥ…危ねえな!」

 一瞬手が震えているのを抑えている爆豪くんがいた。さっきは爆破の威力に驚いてしまったが、あの瓦礫は爆豪くんも苦戦だったみたいだ。

「フッ…いいぜこっからが本番だ麗日ァ!」

 爆豪くんはこれからと言わんばかりに駆け寄るが、その瞬間力なく倒れていく麗日さんの姿が見える。

 (あ‥‥)

《麗日ダウーン!!》

「ハッ、ハッ、んのっ、!体言うこと…きかん」

 意識が虚ろになりながらも、這いつくばって食いつこうとしている彼女の姿に思わず息を吞んだ。

「まだ…父ちゃん…っ、」
「麗日さん行動不能。2回戦進出爆豪くん!」

《1回戦第8試合…あぁ麗日…うん爆豪1回戦突破》
《ちゃんとやれよやるなら》

 結果は爆豪くんの勝ちで終了したが、私は搬送ロボに乗せられステージから離れていく麗日さんから目が離せなかった。改めてここがヒーローを志している生徒が集まる学校という事を実感した。

 みんな自分の夢のために頑張っているんだ。
 
 そう思うと、自分の不甲斐なさと同時に決意した気持ちは強くなっていった。

(……轟くんに会おう)

 次の試合は、切島くんと鉄哲くんの引き分け戦という事で、それが終わったら2回戦に進んでいくのだろう。ならば今ならまだ時間があるはずだ。
 
『ちょっと抜けるね』
「え?あーうん」

 会えるとしたら今しかない。そんな直感が過り、その場を離れた。


 先生に教えてもらった雄英生徒たちの控え室に向かっていく。轟くんと会って話すことが彼にとってプラスになる確信もないし、立場上彼とは釣り合わない自分なのは百も承知だ。でも、

(もう、あんな顔なんて見たくないよ。)

 ずっと怒りを抱えたままでいる姿を見過ごすなんてできない。このまま試合を続けていい成果を残せたとしても、根本的な問題は解決できないままだ。

 たとえ彼に「しつこい」と嫌われる事になったとしても、彼には笑顔でいてほしい。負の感情に囚われず、彼の思うままに夢に向かって走ってほしい。その気持ちに嘘はない。
 自分のわがままなのはわかっているけど、彼の助けになりたい。

(余計なお世話って…言われるだろうな。)

 でも、どうか今は、彼に会う事をお許しください。
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