第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
《麗日休むことなく突撃を続けるが…これは…》
「さっきの変わり身が通じなくてヤケ起こしてる…」
「アホだねあいつ」
「なぁ止めなくていいのか?」
「だいぶクソだぞ」
「おいそれでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!」
「女の子いたぶって遊んでんじゃねえ!」
観客からのブーイングが聞こえ、徐々に声が大きくなっていく。確かに言いたい事も分かる気はするが、麗日さんの目がまだ諦めていなかった。
そんな状況の中、試合を中断するのはいい決断とは言えない気がする。
《一部からブーイングが。しかし正直俺もそう思…肘ッ!?何すん!?》
《今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?》
珍しい相澤先生の荒げた声に、観客のブーイングが一瞬治まった。
《シラフで言ってんならもう見る意味ねえから帰れ!帰って転職サイトでも見てろ!爆豪はここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ手加減も油断もできねえんだろうが》
やはり担任の先生という事でよく生徒を見ていると思った。
「ハァハァ…ありがとう爆豪くん…油断してくれなくて」
「あ?」
「爆豪の距離ならともかく…客席にいながら気づかずブーイングしたプロは恥ずかしいねぇ。低姿勢での突進で爆豪の打点を下に集中させ続け武器を蓄えてた。そして絶え間ない突進と爆煙で相手の視野を狭め…悟らせなかった」
手を揃えようとするしぐさに、思わず上を見つめるとそこにはたくさんの瓦礫の欠片が空中にあった。
(麗日さん、これを狙って…)
「勝ぁぁああああつ!」
叫びながら両手を合わせると、空中に浮いていた瓦礫の破片が一気に下へ降り注いでいった。
《流星群!?》
《気づけよ》
大量に降り注ぐ瓦礫の中、彼女が爆豪くんの元へ突進していき、彼に触れられそうになっていた。
(‥‥麗日さん、頑張れ)
私は祈るかのように両手を握ってその光景を見ていた。
しかし爆豪くんの爆破の威力はすごく、落下していく瓦礫をすべて吹き飛ばしてしまった。
「デクの野郎とつるんでっからなテメェ…。何か企みあるとは思ってたが…」
「一撃て…」
《会心の爆撃ッ!麗日の秘策を堂々正面突破!!》
麗日さんが驚いている以上に、自分自身も驚いていた。