第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
《ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする!あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ!ケガ上等!だがもちろん命に関わるようなのはアウト!ヒーローはヴィランを捕まえるために拳を振るうのだ!》
個性許可はそのままに1対1の勝負という事か、
《レディィィ!スタート!!》
「「まいった」…か。これは心の強さを問われる戦い。強く思う将来があるならなりふり構ってちゃだめなんだ。あの猿はプライドがどうとか言ってたけど…チャンスをドブに捨てるなんてバカだと思わないか?」
「何てことを言うんだ!!」
煽るような言葉に緑谷くんが反応してしまった。
「俺の勝ちだ…」
「ああっ!せっかく忠告したってのに!」
すると、さっきまでの怒りが嘘かのように静かになっていく。心操くんの個性が発動したのだ。
《緑谷開始早々完全停止!普通科心操人使、ヒーロー科緑谷出久を攻略!こりゃまさかの事態だ成るか下克上!?》
「お前は恵まれてていいよな緑谷出久。振り向いてそのまま場外まで歩いて行け」
心操くんからの命令が作動したのか、虚ろ目の緑谷くんが反対方向に向かっていく。このまま決着がついてしまうのか、私はドキドキでその試合を見ていた。
「わかんないだろうけどこんな個性でも夢見ちゃうんだよ。さあ負けてくれ」
しかし、
「…ッハァ!」
緑谷くんの指から個性が発動したことで、彼の洗脳から解けたのか意識がはっきりしているように見えた。ギリギリ踏みとどまった。
《こっこれは…緑谷とどまったァ!!》
《指が…暴発させて洗脳を解いたのか!》
心操くんが焦っているように見える。洗脳が解ける事自体が彼にとって例を見ない状況みたい。
「体の自由はきかないハズだ。何したんだ!?」
緑谷くんは答えないといわんばかりに手を口に当てていた。答える事が洗脳する一種の条件みたいなものなら、今の心操くんの状況はかなり不利だ。
「何とか言えよ。指動かすだけでそんな威力か。うらやましいよ」
それでも心操くんの語りは続く。少しでも口を開けさせようとしているのだろう。それに構わず緑谷くんは彼に向かって突進する。同じクラスではなくても、彼らの強い意志は同じだった。