第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
もしかして話題を間違えてしまったのだろうか、
『す、すみません!何か気に障りましたか?』
「いやいや!そんな事ないよ!ただちょっと緊張してたんだ。相手が相手だし、」
『あ…』
その答えを聞いて彼女もヒーロー科以前に一人の女の子だという事を知った。確か彼女の相手は…
『爆豪くんでしたっけ、』
「うん、正直ね。ちょっと怖い」
『それは…多分誰でもそうだと思いますよ。』
今までの実績からしても上位に食い込むし、個性もまさに彼を体現しているかのような強い個性だ。普通科でない自分も脅威に感じられるんだから、恐らく同じクラスである彼女はより実感しているのだろう。
ただ彼女はすぐ気を取り直して笑顔を向けていた。
「なんかごめんね!湿っぽい感じになっちゃって!」
『あ、いえ・・』
「父ちゃんも母ちゃんも見ているのに、弱気になれないからね!絶対勝ちにいくよ。」
なんだかその笑顔が私には眩しく見えた。切り替えの早さとか意志の強さはヒーロー科ならではなのかもしれない。
「それより、敬語使わなくても大丈夫だよ?同い年なんだし」
『あ、つい…』
流れでずっと敬語を使ってしまったが、確かにそうだった。
『麗日さんのその思いはきっと親御さんに届くよ』
「そうだと嬉しいな~」
柔らかく笑う彼女はまるで理想のヒロインみたいだ。いや、ヒーローともいえるんだけど…親のために頑張ろうとする気持ちは私もよくわかるからより応援したいと思う。
そんな会話を繰り広げていると、もうすぐ借り物競争が終わろうとしていた。
『あ、もうそろそろで終わりそうだね』
「そうだね。早い~」
『応援してるね、頑張って』
爆豪くんとの試合は決して簡単ではないと思うが、それでも勝とうとする気持ちを称えてあげたいと思いそう伝えた。最後まで彼女は笑顔だった。思えばその笑顔のおかげで緊張も解けて会話も途切れる事はなかった。
その後何種目か行い、レクリエーションは無事終わった。
「お疲れ~」
『理央ちゃんここにいたの?』
「あーうん、休んでた」
観客席へ再び戻り、最終種目の試合を見るため着席する。
《第1回戦!成績の割には何だその顔!ヒーロー科・緑谷出久!VSごめんまだ目立つ活躍なし!普通科・心操人使!》
さてようやく最終種目の始まりだ。