第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
「それじゃ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうよ!組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります。レクに関しては進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。んじゃ1位のチームから」
「すいません。俺辞退します」
手を挙げたのは1年A組の生徒だった。
「尾白くん何で!?」
「せっかくプロに見てもらえる場なのに!」
「騎馬戦の記憶、終盤ギリギリまでほぼボンヤリとしかないんだ。多分奴の個性で…」
彼の視線からして心操くんの洗脳にかかっていた生徒なのだろう。
「チャンスの場だってのはわかってる。それをふいにするなんて愚かなことだってのも。でもさ、皆が力を出し合って争ってきた場なんだ。こんな…わけわかんないままそこに並ぶなんて俺には出来ない」
自分の実力ではないからという判断、それが正しいかどうかはわからないが、彼は自身の意見を曲げるつもりはなかった。他の1年B組の生徒もどうやら辞退するらしい。
《何か妙なことになってるが…》
《ここは主審ミッドナイトの采配がどうなるか》
「そういう青臭い話は好み!庄田・尾白の棄権を認めます!というわけで鉄哲と塩崎が繰り上がって16名!抽選の結果組はこうなりました!」
そして最終種目に進む対戦相手が公開された。
「あんただよな?緑谷出久って。1回戦よろしく」
「あっ よろ―「緑谷!奴に答えるな」
心操くんの相手は緑谷くんか…なかなか手強い試合になりそうだ。対する轟くんは…とトーナメント表を見てみると、
(あ、2回戦…)
轟くんが1回戦を突破したら、緑谷くんか心操くんと勝負するという事になる。実際はどちらが轟くんの相手になるか分からないが、轟くんが勝ち進む上で避けて通れないだろう。
私は直接彼に声をかける事は出来ないが、それでも彼がこの最終種目を通して、辛い過去や彼の抱えてるものを解き放つ良いきっかけになってほしいと願うばかりだ。
《それじゃあトーナメントはひとまず置いといて楽しく遊ぶぞレクリエーション!まずは借り物競走だ!》
さてと最終種目の説明も終わり、レクリエーションが始まった。せっかくそういうチャンスを貰えたんだ。やるからには一生懸命やるつもりだ。
借り物競争のお題のボックスに手を入れる。指示された内容はというと、
『…ん?』
「ふわふわガール」と書かれてあった。