第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
今まであまり動きがなかった轟くんチームが動きだした。
「残り6分弱、」
足元の氷で動けない生徒の鉢巻きを狙っていきながら、緑谷くんチームに近づいていく。
「牽制する!」
「八百万!」
緑谷くん側の攻撃も、すぐ防御で対応しているのを見ると、やはりこういう場合を考慮してのチーム構成なのだろう。中々理にかなっているチームだ。
「八百万さんの創造、厄介すぎる!」
「それ以上に上鳴だ。あの程度の装甲太陽光ならばダークシャドウで破れていた」
「そうか!上鳴くんの電光!」
「奴の放電が続く限り攻めでは相性最悪だ。ダークシャドウが及び腰になっている」
「攻撃力低下、それ向こうには知られてないよね?」
「恐らくな。この欠点はUSJで口田に話したのみ。そして奴は無口だ」
「知られてないなら牽制にはなる。大丈夫、何としても1000万は持ち続ける!」
《残り時間1分!緑谷なんとこの狭い空間を5分間逃げ切っている!》
相手側の緑谷くんのチームも負けていない。発目さんのアイテムが壊れたり、攻撃が塞がれたりしていたものの、その後は轟くんのチームを近づけさせないよう徹底的に工夫していた。
「みんな この後俺は使えなくなる。頼んだぞ」
「飯田?」
「しっかり掴まっていろ!奪れよ轟くん!」
もう時間がないと踏んだのか、眼鏡をかけた生徒の足から急激な光を発し、前へ駆け抜けていく。
「トルクオーバー!レシプロバースト!」
一瞬何が起きたのか理解するのに時間がかかった。
「早っ?!」
『目が追い付かなかった…』
さすがに隣にいた理央ちゃんも驚いていた。それは自分も同じだ。しばらくしてようやく、轟くんが緑谷くんの鉢巻きを取っている事がわかった。
《ライン際の攻防!その果てを制した轟が1000万!そして緑谷急転直下の0ポイント!》
急にポイントが奪われた緑谷くんチームは慌てていた。
「突っ込んで!」
「上鳴がいる以上攻めでは不利だ!」
「他のポイントを狙いに行くほうが堅実では!?」
「ダメだ!ポイントの散り方を把握できてない!ここしかない!」
「よっしゃ!取り返そうデクくん!絶対!」
覚悟を決めた緑谷くんが攻撃態勢に入り、轟くんのチームへ向かっていく。緑谷くんの個性に反応したのか、
(あ…)
轟くんの左手からも真っ赤な炎が放たれ、目が離せなかった。