第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
「きましたアピールチャンス!私のサポートアイテムが脚光を浴びる時!見よ!全国のサポート会社!」
不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「え~アイテムの持ち込みいいの?」
「ヒーロー科は普段から実践的訓練を受けてるでしょう? 公平を期すため、私たちは自分の開発したアイテムコスチュームに限り装備オッケー!」
この前に会った時と印象が違うように見えるのは、彼女のサポートアイテムの影響だろう。
『発目さん、』
「おお、丁度いいところに。見てください!これも私が作ったんですよ!」
突然のアイテム紹介に私も周りの生徒も驚いている様子だった。自分も最初に会った時は驚いたものだ。
「え、同じサポート科の人?」
『あ、いえ…私は普通科でして、』
「個性がない方のために私が開発したのですよ!」
個性がない方のため、という部分に引っかかったのか、それを聞いた人達の視線がより自分へ向いた。なんとも言えない空気感の中、
「おっといけない!私は先に進まねば」
彼女は本来の役割を思い出したのか、彼女の自作アイテムを早速披露し始めた。
「私たちサポート科にとっては己の発想開発技術を企業にアピールする場なのです!」
「さあ見て!できるだけデカイ企業!私のドッ可愛いベイビーを!」
(飛んでる…)
「負けない!」
「悪平等だ!」
先に進んでいく発目さんに引っ張られた事もあってか、話を聞いていた人たちも先に進んでしまった。正直怖いが、進むしかないと思い、綱を渡ろうとすると、後ろから自分の肩に触れている感触がした。心操くんだった。
「なあ、一条。手伝ってくれないか」
『え、何を…?』
「―――――――」
意図が読めずその先の言葉を聞こうとしたが、突然の頭にもやがかかったような感覚がし、その後何も考えなくなった。
「―――」
『……?』
誰かの声と、誰かに接触した音、それが微かに聞こえるのと同時に、もやがかかった頭が解放されていく。
《早くも最終関門、一面地雷原!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!目と脚酷使しろ!》
マイク先生の実況が聞こえてきて、だんだん情景が見えてきた。さっきまで渡ろうとしてたはずだけど、
『え、…え?』
いつの間にか自分は第二関門を通過している事に気づいた。