第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
先ほど轟くんが凍らせてしまったロボは、不安定さが故に崩れ落ちて倒れていった。
「誰か下敷きになったぞ!」
「死ぬのかこの体育祭!?」
混乱の声が相次ぐ中、
「死ぬか!俺じゃなかったら死んでたぞ!」
「A組の野郎はホント嫌な奴ばっかりだよな!俺じゃなかったら死んでたぞ」
個性を使って次々と打破していく生徒たちの声が聞こえる。凄いと感心できるほど猶予はなかった。
さて、ロボ対策についてだが、私はほかの人に比べて圧倒的不利な状況だ。アイテムシューズもおそらく使えないし、個性があるわけでもないので、ロボを倒して進むこともできない。
正直ここを突破できるビジョンがまったく見えてこないのは事実だ。
そういえば、さっき轟くんが倒したロボの部品、あれは活用できないだろうか。そう思っていたら、自分と同じ事をしようとしている生徒がいたのか、部品に手を出そうとしたタイミングが同じだった。
「あ、ごめん!」
『だ、大丈夫です。気にしないで!』
緑がかかった癖毛の彼の方が早かったので、咄嗟に彼に譲って別で落ちていないか探す。幸い別の場所で見つけることができた。
『あった、』
それを見つけた瞬間、ロボが自分を襲い掛かろうとしているのを認識したが、反応するのが若干遅れてしまった。
『っ、』
ロボの攻撃を咄嗟に部品を出して盾替わりにした。何とか被害は免れたが、衝撃のあまり手が震えているのを感じる。こういう面では実技経験が不足している事が悔やまれた。とりあえず、これを盾替わり兼攻撃する用として使うしかなかった。
私は自分のできる全速力で走っていった。
『はぁっ、着いた…』
なんとか第一関門を抜け切る事が出来た。この部品でロボの足を攻撃して隙をついたり、防御しながら走っていた。慣れない事をしたせいもあって、体力はまだ大丈夫だが、精神的には少し参っていた。
(次は…?)
《第二関門はどうさ!?落ちればアウト!それが嫌ならはいずりな!ザ・フォール!》
『アウト…?!』
落ちたら死なないよね?と一瞬嫌な想像が働きそうだったので、首を振って不安を取り除く。
「いつの間にこんなステージ作ったん?」
「あ、梅雨ちゃん!」
「大げさな綱渡りね」
危ない一本綱を渡っていく女子生徒を見て、ここは雄英だと思い知らされた。