第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
なんとか門をくぐると、地面の氷が果てしなく続いていた。そんな中、個性を使って氷を回避したり対策したりしている生徒たちが何人もいる。
「使い慣れてんなぁ個性」
あ、心操くんも個性を使って回避してる。やはりヒーローを本気で目指す彼も対策はばっちりみたいだ。私も自身のアイテムシューズのギアモードからスケートモードに変更し、地面にある氷を滑ってみせた。
(よかった。)
これが活用できる場が出来てホッとする。それにしても、ここまで轟くんの個性が進化している事に改めて凄いと感じる。そして当の本人はもう遠いところまで走りながら、こちらの状況を確認していた。
「…」
『…?』
こっちを向いた気がしたけど、気のせいだろう。
《さあいきなり障害物だ!まずは手始め第一関門。ロボ・インフェルノ!》
そして油断しているのを束の間、葡萄頭の男の子が轟くんを攻撃しようとした際に現れた大型ロボットたちが、こちらを向いていた。
「入試ん時の0Pヴィランじゃねぇか!」
「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」
「一般入試用の仮想敵ってやつか」
「どこからお金出てくるのかしら」
入試試験にも表れていたとは、でもどういう風に立ち向かっていけばいいのだろう。そう考えていると、
「せっかくならもっとすげえの用意してもらいてえもんだな」
彼の右手からまるで氷の山のように作られていく。一体どこまでこの氷は創造することが出来るんだろう。
「クソ親父が見てるんだから」
憎しみに満ちた彼の表情と共に、一瞬にして彼の目の前のロボットを凍らせてしまった。一瞬の出来事に目が離せなかったけど、先ほどの彼の言葉が耳に残っていた。
(…やっぱりまだお父さんの事、)
彼の過去について知っているが故になんとも言えなかった。
《1-A!攻略と妨害を1度に!すげぇな一抜けだ!》
《アレだなもうなんか…ズリィな!》
《合理的かつ戦略的行動だ》
マイク先生と相澤先生の実況が聞こえる。
《さすがは推薦入学者!初めて戦ったロボ・インフェルノをまったく寄せ付けないエリートっぷりだァ!》
(エリート、か)
事実であるはずなのにもう遠く感じてしまうのは、自分のわがままだ。
(…集中しないと、)
家族に答えるため、そしてこれ以上彼に「仲良しごっこ」だと呆れないためにも、