第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
そしていよいよ体育祭本番。あまり着る機会がない雄英の体育着を着て、ステージの中にある1年C組用の個室で待機していた。思いのほか体のラインがピッタリしている作りだった。
「調子はどう?」
『理央ちゃん、うん、大丈夫』
「そのシューズアイテム?、似合ってる」
『ありがとう、発目さんには感謝しないと、』
もうこのシューズもだいぶ使い慣れたのか、自分のサイズにピッタリハマっていた。隣に座っていた心操くんにも声をかける。
『心操くんも頑張ってね。』
「ああ、俺は負けねえ」
『お互い頑張ろうね。』
心操くんは気合十分みたいだった。
「今日はなんかいい感じね」
『そうかな?どっちかっていうと緊張しているよ…』
「…いや、だいぶ吹っ切れてるよ。前に比べたら」
『…ん?』
やけにじっと見られてる気がする。
『あ、えっと、今個性使われてる?』
「そう。だからわかるの」
『そっか、理央ちゃんの個性も絶好調だね。』
理央ちゃんの個性は「共感覚」。言葉や音などに対して色を感じたりすることが出来るらしい。とは言っても教えてもらったのは最近なので、細かな制限までは知らないけど、
「っていっても、これが入試テストで役立った事が一度もないけどね」
『そんな事ないよ、』
「まあ、アンタは頑張って。」
肩に手を置かれてそう言われた。
「刮目しろオーディエンス!群がれマスメディア!1年ステージ生徒の入場だ!」
マイク先生の実況が聞こえて、ステージへの歓声が聞こえ思わず「ひっ」と奇声を発してしまった自分の声が恥ずかしかった。やはり1年A組の注目度は高いみたいだった。
「続いて普通科。C・D・E組!」
「俺らって完全に引き立て役だよな~」
「たるいよね~」
『ま、まあまあ…参加できる事も十分すごいから』
不満の声が聞こえて、必死にそれをおだてた。ヒーロー科に注目度が高いということは、いい意味でも悪い意味でも普通科に影響を与える。その光景がまさに目の前に広がっていた。
「選手宣誓!」
「選手代表1ーA 爆豪勝己!」
不満の声が掻き消えるかのような「ミッドナイト」先生の登場に会場の生徒たちと観客がざわめいていたが、壇上の階段へ上がる彼にいずれ視線は移される。
「センセー。俺が1位になる」
なかなか癖が強い宣誓だった。