第6章 見直しと壁【原作編(雄英体育祭)】
あの言葉を聞いた後、揺れる気持ちを必死に無心に戻し、体育祭への準備に勤しんでいた。そして翌日、校長先生に呼ばれた私は校長室へ向かっていた。
『失礼します。お呼びですか?』
「ああ!一条くん!待っていたのさ」
『体育祭の事でしょうか?』
「感がいいね!その通りさ、参加資格がある君にいいニュースをと思ってね。」
『いいニュースですか?』
何のことだろうと思うと、ドアの音がバタンと開く音が聞こえ、後ろを振り返る
「あなたが一条さんですね!!」
『えっと…どなたですか?』
「サポート科の発目明です!」
自信満々にそう伝える彼女に驚くと、校長先生が詳しい事情を話して頂いた。
「ということで、発明さんに協力してもらってアイテムコスチュームを作ってもらったのさ」
『え、そんな配慮していただけるんですか?』
「実践的訓練を受けてない、しかも無個性の君にとってはこれは公平ともいえるのさ」
ただでさえ体育祭の準備で生徒たちは忙しい日々を送っているのに、そんな事してもらっていいのだろうかと、ありがたさと恐縮さを抱いていた。そう思う反面、彼女は楽しそうにしていた
「安心ください!私にはたくさんのベイビーたちがいるんですよ!」
『べ、ベイビー?』
彼女の言動からしてどうやら発明品が「ベイビー」を意味するみたいだった。そう言って渡されたのは新品のシューズっぽい発明品であった。
『うわぁ…すごい本格的』
「使い方をご説明しますね!」
彼女の説明に耳を傾けた。一見普通の運動靴に見えるが、耐熱凍製になっているので、どんな場所でも歩きやすくなっているとのことだ。
またボタン操作で、本来靴の裏に隠れているギアを出して、周りにある氷を削る、もしくはでスケートシューズみたいに使ったり、熱い場所対策で冷感素材へ変換する事もできるらしい。
聞いてるだけでも自然と感心してしまう。
『発目さん、本当に私が使っちゃってもいいの?』
「もちろんです!私のドッ可愛いベイビーを企業にアピールするためにもぜひ!!」
『ありがとう。』
そっか、彼女はこの発明品以外にも自作のものを企業にアピールしていきたいと思っているんだ。
(みんな本気で望んでいるんだ、私も頑張らないと)
そう気持ちを切り替えれば、何も不安はなくなっていた。