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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第5章 出会いと再会【原作編(入学)】



 引き続き、昼食をしている際、ピピピと食堂全体に響き渡る音が聞こえ、食事している生徒たちの視線が上に集中していた。

『ん?』
「警報の音これ、」
「…誰かが侵入でもしたのか」

 ”セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんは屋外に避難してください。”

 案内放送の声に従い、生徒たちの慌てた声が次第に大きくなっていた。

「とりあえず避難した方がよさそう」
「そうだな、」
「アンタも早く」

 さすが雄英の生徒ということもあって、避難場所へ向かおうとしたら大勢の生徒たちが押し寄せていて、まるで満員電車の中みたいに前も後ろも進めない状態になってしまった。

『痛っ、』
「沙耶!」

 誰かに強く押されて、近くにいた彼女ともはぐれてしまい、そのまま人の波に流されてしまった。せめてこれ以上は流されないように体制を整えるが、体格が小さい自分で防ぐのも限界があった。

(…窓の近くに行こう。)

 少なくとも勢いに巻き込まれることを防げると思い少しずつ移動した。

『…どうしてこんなことが、』

 そう思い、横目で窓の外を覗くと、報道陣の人たちが門の前に押し寄せている光景が目に映った。まさかマスコミの影響?

『あの、!っ』

 このことを伝えなくてはと思い、大声を出そうとしたが、状況が状況で自分の声はすぐにかき消されてしまった。どうしたらいいのだろう。

『…?』
 
 さりげなく自分の後ろ肩に、誰かが手で支えているのがわかった。後ろを振り向こうとしたが、それができない程生徒の数がどんどん増えてくる。でもおかげで勢いが軽減された。

「皆さん!大丈夫!!」

 顔を上げると、非常口付近に生徒の誰かが大声で叫んでいることがわかった。

「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません!」

 自分が言おうとしていたことをその生徒は叫んでいた。
 
「大丈夫!ここは雄英!最高峰の人間にふさわしい行動をとりましょう!」

 励ましの言葉と共にようやく安心したのか、生徒の混み具合も落ち着きを取り戻した。少しずつ生徒が減っていき、ようやく間隔に余裕ができ始め、改めて支えてもらった人に向き合うことが出来た。

『助かりました、ありがとうございま…』

 顔を上げると同時に自分の頭の中が真っ白になっていた。
 
『え…』
 

 どうして、

 轟くんがここにいるの?
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