第5章 出会いと再会【原作編(入学)】
轟くんも同じこと言われたっけ、そう思いだした瞬間、彼を思い出していたことに、自分自身呆れていた。心操くんに彼を重ねてしまった事も失礼だし、何を考えているんだ、自分は…
『理央ちゃん、』
「ん?」
『やっぱり当分は恋愛できそうにないかも、』
アドバイスしてもらったのにゴメンね、と彼女に謝った。
「相当重症だね、それ」
『…そうだね、』
「まあ、他の男を見つけるより、別のやりがいを見つけた方ががいいんじゃない?」
『やりがい、』
「まあ、どっちみち雄英にいるなら、それも見つけられるでしょ、多分」
『それもそうか…』
それが見つけられればいいけど、とため息が出ていた。
次の日、雄英の門の前に、たくさんの取材陣に囲まれているのを発見した。何事だろう
「そこの君!オールマイトが教壇に立っている様子ってどんな感じ?」
『え?あ、えっと…』
「すみません!授業に遅れるので失礼します!」
『あ…』
理央ちゃんと、話しかける前に、彼女から私の肩に手を乗せて学校の中へ走っていった。
「マスコミに関わったら、ろくな事ないからやめた方がいいよ」
『そう、なんだ…それにしても人が多いね』
「そりゃそうだよ。平和の象徴と呼ばれる人についてなら記事のネタになるでしょ」
わかっていたことではあったが、改めて平和の象徴「オールマイト」が雄英にいることがどれほどの影響力があるかを実感した。
『正直、どう答えていいかわからなかったから、助かったよ…』
「まあね、普段テレビで見ている「オールマイト」まんまだし」
『あはは、』
そもそも頻繁に会ってるであろうヒーロー科と、普通科なら授業の印象なんて全然違うだろう。
ホームルームの時間、
「ではこれより、学級委員長を決めてもらいます。」
「「「「「ええー」」」」」
「誰かやりたい人いますか?」
明らかに嫌そうな生徒の声、普通科の学級委員長って、ヒーロー科とどう違うんだろう。どっちにしろ挙手する人は一人もいなかった。どうしよう。
「先生、自分は一条さんを推薦します」
振り返ると、手を挙げてそう告げる人がいた。