第5章 出会いと再会【原作編(入学)】
授業が終わった時の事。帰りの支度をしていると、先ほど一緒のペアになってた心操くんから話しかけられた。彼からこうして話しかけられる事は初めてのため少し驚いた。
「一条、」
『心操くん』
「聞きたいことがあるんだけど」
深刻な話なんだろうか、私は近くにいる理央ちゃんに目を移したが、ウィンクされたまま、バイバイと手を振っているだけだった。
「さっきの話の続きだけど、お前は…俺が怖くないの?」
『…ん?』
「俺の「洗脳」はどっちかというとヴィラン向きの個性だろ。」
彼についていくと、そのような疑問が投げかけられた。彼は自身の個性が「ヴィラン」向きである事に不安があるのだろうか。
『そりゃ、場合によっては悪用する可能性はあるかもしれないど、心操くんは違うでしょ?』
「え?」
『その個性を「ヒーロー」として活かしたいから、雄英にいるんじゃないの?』
普通科を目指していた自分はともかく、心操くんや他のC組たちは、ヒーロー科に落ちてしまったとしても、ヒーローとしての可能性がなくなったわけではないのだ。
『ヒーロー科に落ちたとしても、雄英に残っている時点で、心操くんはヒーローとしての資格を持っていると私は思うよ』
「‥‥」
『あ、でも、無個性の私が言っても説得力ないよね!ご、ごめん、偉そうなこと言っちゃって。』
考えを押し付ける感じになってしまっていたかもと思い、彼の顔を伺うが、何かを決心したかのようで、表情は晴れ晴れしていた。
「変な奴だって言われてるだろ、お前」
『‥‥変かな』
「まあいい。とりあえず確認したかっただけだから、」
『は、はあ…』
何の確認?と思ったが、彼は私の答えを聞いて満足そうだったので、それには触れなかった。彼はそれ以上は何も言わずそれだからと言って離れていった。すると、いつの間にか私の横に彼女が立っていた。
「あちゃー沙耶って無意識に好感度上げていくタイプ?」
『好感度って、…理央ちゃん、帰ってたんじゃ?』
「帰る前にいいもん見れたから立ち聞きしてた」
立ち聞きすることを堂々と言う。まあ自信満々に言う彼女は雄英生徒らしいといえば、らしいのかもしれない。それにしても、つい思い出してしまった。
ー変な奴だって言われてるだろ、お前
ー変な奴だな、お前は
前に轟くんに言われた事を、