第5章 出会いと再会【原作編(入学)】
個性についてどう思うか、と言われるとなんて答えればいいかわからずすぐ答えは出てこなかった。
「ちょっと、校長、意図を説明してあげないと。」
「ああ~これは失礼」
校長は補足を入れるかのように話し始めた。
「君はこの履歴書を見る限り成績も優秀だし、目標もしっかりしている。でも、この雄英高校は、ヒーローになりたい、ヒーローに関わる仕事をしたい生徒が多い分「個性」を持つ人へ向けての活動が多い。」
『はい、』
「それに関して、不安があったりしないのかと思ってね。」
普通科に進学するとは言っても、雄英高校は基本的にヒーローに関する仕事を目指している学校だ。学校の性質上そうなるのはむしろ当たり前だろう。「無個性」である特殊な立場であるからこそ、そのへんの本心が気になるのかもしれない。
『正直言って自分は「無個性」ですし、こんな自分が受けてもいいんだろうかと思う時もあります。でも、』
私は手を握りしめながら続きを話した。
『そんな自分だからこそ、自分なりの在り方を見つけて、ヒーローを手助けできる存在になりたいです』
それは素直な自分の気持ちだった。
その後面接は無事終了し、緊張が解けたかのように気持ちが軽くなった。
『‥‥おばあちゃんに報告しておこっと、』
携帯を取り出し、メールを打って報告した後、疲れを癒すためにベッドに横になり眠りについた。
他校の受験も無事に終わり、私は待つかのごとくソワソワしながら結果発表を待っていた。雄英高校は結果発表が手紙で来るらしいが、これが一般的なのだろうか。
『どうなったんだろう…』
正直、自分なりに頑張ったとはいえ、自信はない。受験はよくても、『無個性』と判定されてアウトなのかもしれない。そこは学校側の判断になるのでどうしようもない部分だ。もし受からなかったとしても、有名校に挑戦しただけでも頑張ったとほめてあげよう。そう思いながら郵便箱に手を入れると、
『あ、き、来た…』
私はその手紙を大切に持ち直しながら、ゆっくり開けてみた。すると、
「私が投映されたァ!!」
『‥‥わっ?!』
急に映し出される映像にビックリした。しかも相手は…あのNo.1ヒーローの「オールマイト」だった。どうして、そんなヒーローが?と疑問が浮かぶと同時に、私は手を添えながら静かに結果発表を待っていた。
