第4章 自覚と決着【過去編】
久しぶりの涙を流したあの後、私は改めておばあちゃんに感謝の言葉を伝えた。感情が抑えられず涙を流してしまった事に罪悪感を感じた。
「そんな事ないさ、たまには感情を露わにすることも大事なんだから」
彼女は微笑むと安心したかのように、言葉を紡いだ。
「むしろ、安心したよ。」
『安心?』
「こっちの言葉さ。‥‥ゴホッ」
おばあちゃんが咳込んでいたので、背中をさすってあげると、ありがとうと答えてくれた。
そして、時間は流れ、3月。
桜の花が咲く前の頃、私はついに彼に告白するために、場所を決めて、彼に指定の場所へ来てもらえるよう頼んでおいた。その場所は、入学式の頃に桜が咲いてた木々が多い歩道だった。
先にその歩道に到着していた私は、周囲にある木々を眺めていた。
『もうすぐ咲くかな…』
この場所は彼と再会した場所でもあって、印象に残っていたので、想いを告げるならここがいいと思っていた。
『……』
以前みたいに不安や焦りは感じなかった。私は今までの思い出に浸りながら、彼を待っていた。
幼稚園の頃、初めて会った時の事はよく覚えている。いじめられた時に助けてくれた彼の行動は、自分にとって救いになっていた。だから彼の夢を聞かされた時は、真剣に応援したいと思ったし、力になりたいと思っていたが、最後は望まぬ別れをしてしまって、後悔していた。
そして久しぶりにあった彼は、纏うオーラがだいぶ違っていて驚いて、しかも私の事は忘れているらしく、それが若干ショックではあったけど、彼の素の部分は、小さい頃と変わっていなくて、嬉しかったり、自分が大変だった時は裏で助けてくれたりして、彼をどんどん意識し始めた。そして、
私は彼に恋をした。
自分の気持ちに戸惑いつつも、ついに今日、私の気持ちを告げる。
『‥‥驚くだろうな、』
「何がだ」
独り言をしている自分に話しかける人物なんて、一人しかいない。
『ビックリした、轟くん、時間早いね』
「お前が早すぎるだけだ。」
相変わらず淡々とした返事であるが、この感じももう慣れた。思えば、彼は自分にとって、長い間関わりを持った人と言えるだろう。
『‥‥』
「それで、言いたい事ってなんだ、」
当たり前のように思えた日々、関係性。それも今日で終わり。深呼吸をしてその終わりの言葉を告げた。