第4章 自覚と決着【過去編】
『どうして、』
何も考えられず、思わずその言葉を発すると、彼女は薄ら笑いながらこちらを見ていた。
「もともと気に食わなかったんだよね~」
すると、一歩一歩私の元へ近づいてきた。
「無個性のくせにさ、自分も立場もわきまえず、調子乘ってるの、みてて凄い気持ち悪かったし、」
『‥‥』
「轟くんが優しいからって、いい気になってるんじゃないの?」
それが理由なの?だから私の作ったものを投げたって言うの?人の事を何だと思っているんだろう、と理不尽に聞こえる彼女の言い分に思うところがあるが、グッと抑える。
こんな事で言い争ったってチョコは戻ってこないし、何も変わらないのだ。
『‥‥』
「何よ、何かいったら?」
彼女は何も言って来ない私に対して文句がある様子だった。元々何も言うつもりがなかったが、自分の出た返事が以上に冷めていた。
『あの、』
『気に食わないからって、人のものを投げたりするのやめた方がいいよ。』
「は?」
『私、用事があるから、これで失礼するね。』
探す時間がないかもしれないけど、せめて学校の周辺だけでも探さないとという一心で、その場を離れようとすると、私の行動が彼女の逆鱗に触れたのか、思いっきり平手打ちをされた。
『‥‥っい、』
「何なのよ!もっと怒りなさいよ!何大人ぶってるのよ!悔しくないの?!」
彼女が原因なのに何で彼女が怒るのだろうか。実際彼女の真意がわからなかった。
『‥‥そう思ってもらってもいいよ』
彼女の言葉を待たず、改めてそこから離れる。
「アンタなんか…」
遠くから彼女の声が聞こえるが、振り向かない。
「アンタなんか、轟くんに盛大に振られればいいのよ!!」
そう言いながら悔しそうに大声を出しているのが聞こえたが、振り向く余裕などありはしなかった。でも、彼女が何で理不尽に私のチョコを投げ出したのかわかった。
(‥‥言われなくたって、わかってるよ)
そう思いながら自分で苦笑いを浮かべた。
『‥‥やっぱない、』
あの後、窓の位置からして落ちる可能性の場所を探して回ったが、どこも見つける事が出来なかった。もしかしたら目に届かない所に落ちている可能性があるが、そこまで細々に探すにしても今日中に探すのは難しいだろう。
『はぁ…』
気を抜くと、自然とため息が出ていた。