第4章 自覚と決着【過去編】
時間は経ち、中学二年になった頃、同じクラスになった轟くんは、見た目も伴って学校の成績や普段の行動など、男女関係なく徐々に注目度が高まっていき、存在感を放っていた。
何せ、他のクラスの人が、わざわざこちらのクラスまで彼見たさにやってくるぐらいだ。わちゃわちゃとはしゃぐ女子たちは、全員轟くんの方を見つめていた。
「轟って彼女いるんだっけ?」
「いないらしいよ〜」
「え、じゃあ今フリーってこと?」
「あんた、轟好きなんでしょ?告っちゃえば?」
「え〜どうしようー」
告っちゃえば、その言葉に思わずドキッとする。今まで轟くんに話しかけていた女の子は何人も見てきたが、そこまで恋愛に特化した話が出てくるのを目にしたのはこれが初めてだ。
(轟くん、人気...だもんね)
容姿端麗である彼に関心を寄せる女子は多い。それは幼稚園でも中一の時も知っていた事実だ。だから、そういう話が出るのもある意味必然だ。なのに、気持ちが落ち着かない。
もしも女の子から告白されたら彼はどう返答するのか想像がつかないからかもしれない。
(....好きな、人…か、)
現時点で彼が女性について(親族を除いて)語った姿を見たことがないので、恐らく気になる人がいる可能性は低いと思うが、いつか彼にも好きな女の子が訪れて、その子と結ばれる日が来るのかもしれない。そう思うと何故か胸が苦しかった。
そんな未来を想像するのが、怖くてならなかった。
(....どうして)
胸を抑えながら自分に問い直す。
そばにいるだけでいいって思っていたのに、他の人が彼と結ばれるのを見たくないと思ってしまうだなんて、そんな矛盾した感情が出ている自分に戸惑う。
それを自覚した時、悲しい気持ちになっていた。こんな醜い感情なんて知らなくてもよかったのに、
(情け、ない)
今すぐこの感情を消したかった。
そんな感情が自分の中にあると理解してから、轟くんと気軽に話すことが出来ずにいた。モヤモヤした気持ちは続いてばかりで何も解決しなかった。
そんな状況を抱えた放課後、私は見てしまった。
「轟くん、好きです。私と付き合って」
「‥‥」
階段の隅っこのところで、轟くんが女の子から告白を受けている場面を、