第4章 自覚と決着【過去編】
(とりあえず、一旦置いておこう)
昨日よく考えたが、やっぱり答えは出なかった。だからこれ以上考えても仕方ないと判断した。それに、
(…今はこっちの問題が先)
学校の靴箱を開けながらそう思った。相変わらず嫌がらせの手紙が置いているが、問題は明らかに生ごみみたいな匂いが靴にこびりついていた。
『これ…卵…?』
すれ違いの人たちの反応の視線が嫌そうにしているのを感じる。焦りと共に靴を取り出す。とはいえ、匂いが消えるわけじゃないが、
「一条、」
『っへ?!』
いつの間にか轟君の声に焦り、彼に振り向くと、真っ先に彼の視線が異様に気になった。バレているだろうか
「それ、」
『な、何でもない!えっと、お先にっ』
誤魔化すかのように、その場を離れ、トイレの先へ向かった。
トイレの洗面所で必死に洗い流し、石鹸も使ったが、匂いが落ちなかった。仕方ないが匂いが付いたまま履くしかなさそうだ。
『…流石にバレたかな、』
自分に呆れて何も言えない。轟くんに言われたみたいに、最初にはっきりさせなかったから、ずっとこの問題が続いているのだ。これ以上広がらないためにも話し合いをするしかないのだろう。
例の女子に話かけるために教室へ戻っていくと、自由時間という事でわちゃわちゃと騒いでいる様子が伺えた。
「俺みたんだよ!轟と一条が屋上で食べてるところ」
「マジで?アイツらもう付き合ってんのかよ」
「なんで一条さん?特に可愛いってわけじゃないのに、」
「え~嫌だ~轟くんはみんなのものなのに~」
そしてその内容の会話が私と轟くんの会話であることに気づいた。私のせいだ。私がお弁当なんか渡したから、こんな事になったんだ。
「あ、轟、ちょうどお前のこと話してたんだよ、」
「お前さ、一条と付き合ってんのか?」
私は必死に弁明しようとした。
『ち、違うよ!、ただお礼にお弁当を渡しただけで』
「はあ~?お前ら夫婦か何か?アハハ」
「えーマジで?じゃあキスしろよキス!」
キス?!、思わず全身が熱くなる。そういう方向に持っていくクラスの人達に混乱するしかなかった。彼に申し訳ないと思った矢先、
「くだらねぇ」
沈黙を貫いていた彼の発した言葉は、嫌悪感で満ちていた。