第12章 存在意義とゆらめき【原作編(仮免)】
次の日の朝、
私は意識を朦朧としながら無理やり起きる。
寮生活のための手続きがあり、その作業は必然的に私がやらなくてはいけなくなる。
部屋を出て階段から降りて当たりを見渡す。
誰もいなかった。
あんなことがあっても結局、家族は他にやるべきことがあるのだろう。
.....あんなことがあっても
『......』
そうか。
私はあまりに期待し過ぎてしまったのだろう。
一度壊れた家族でも、頑張って歩み寄れば、修復できるとそう思い込んでいた。
でも、よくよく考えると、こんなことで疑心暗鬼になるのなら、私と家族の関係はそれほど脆いものだったってことだ。
もう修復するには、母と父が離婚した時点で遅かったということだろう。
『.....は、は』
いろんな感情が湧いていく中、最終的にそう冷静に判断せざるを得なかった。
『もう、どうでもいっか、』
新しい家族のことも、これからのことを考えるのも今の自分にとっては苦痛になるだけ。
そう思うのと同時に、急激な吐き気がした。
今日は本当は引越し作業の準備があるけれど、どうも体が受けつかなかった。
『気持ち、悪い』
急足でトイレに向かい、自分の吐き気を発散させた。
発散した後、私はぼんやりと天井を見つめた。
おばあちゃん、ごめんなさい
きっと、もう家族とは仲良くできない。
おばあちゃんに恩返しもできない。
親孝行できなくてごめんなさい。
前に向かって生きていきたいのに、いとも簡単に崩れてしまう。
今までは一人だけでなんとか頑張ってこれたけど、もう気持ちだけではうまくいかないし、これから先、自分がどう生きればいいなんて、もっとわからない。
誰かのために何かしてあげられる自分になりたいと、
希望を持って入学したはずなのに
今はそれさえも浅い気持ちに見えてしまう。
私はこんなにも弱い人間だったのだろうか。
ああ、
そっか、
そう、だった。
私はきっと生まれた時から何もなかったんだ。
ずっと周りの個性持ちの人たちに合わせていく生活だった。
こうしてほしいと願うばかりで、結局気づいていなかった。
どんなに頑張って馴染もうとしたところで、
個性社会のこの世の中で
無個性の私の居場所なんてどこにもないということを