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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第12章 存在意義とゆらめき【原作編(仮免)】



どこにも吐露できない気持ちを吐き出すかのように走りづらいヒールを手にとって素足で走り出す。


どこか遠くへ行きたい。

誰とも顔を合わしたくない。そんな気持ちで近くの川辺へと走り出した。


静かなその場所へ目線を向きながら頭の中で駆け巡る。

このまま楽になれよ、と

川辺の奥底を覗く。

深い深い奥底、その中に自分も沈んだらどうなるのだろう。

そう無意識に思うのと同時に自分が正気じゃないことを自覚した。


お父さんはお父さんで大変な中、生活面でちゃんと不自由がないように配慮してくれてたし、

新しいお母さんだって別に悪い人ではない。

私が彼らに感じていた幸せが嘘だったわけではない。そう理解したい。

でも、

(もう、疲れた)


自分の信じていたものが取り壊されて行くよう気持ちになる。

なにも期待しないでこのまま終わりたい。

生きたくない

でも死にたくもない。



そんな絶望感を抱えながら、陽が沈むまで、その場にいた。


---------

夜になって家に帰ると父と新しい母が心配したと言いながら、寄ってきた。

でも私は彼らの顔を見ることはできなかった。

上辺だけの優しい言葉に聞こえてしまい、

何もかもが虚しく感じていた。




その後、家庭訪問で家族揃うことはあっても、それ以外で彼らと顔を合わせることを拒んだ。

そうでもしないと心が壊れてしまいそうだったから


.......ああ、あ

元には戻れなくてもまた新しい幸せな家族として歩もうと思っていた。

いろんな葛藤はあるけれど、きっとその先に幸せがあると信じたかった。

でもささやかな夢さえも、家族は本当は望んでいなかっただなんて、なんて滑稽な話だろう。

もっと早く気づけばよかったのに


........どう、して

どうしてこんな気持ちにならないといけないの?

幸せな家族、幸せな日常。

そんなことを望むのがいけなかったの?

無個性、だから?


....辛いよ。

何もかも


......今更ながらあの黒マスクをかぶっていた人の言葉を思い出す。


ーだから、もし無個性であることがキツイのであれば、いくらでも手を貸す事ができるのさ。

違う、今回の件は無個性とはまったく関係ない話

助けてくれるなんて、そんな事あるわけないのに


バカ、だな。私


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