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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第12章 存在意義とゆらめき【原作編(仮免)】



入ったのは高級レストラン。

父が事前に予約してくれたみたいでスムーズに食事が運ばれてくる。

「体調不良でお前が倒れこんだ時に、日本ではすごいことになってるってニュースや動画で何度も見たよ。とはいえ、全寮制になるなんてな」

父には自分が誘拐されたという事実は、学校側でうまく隠されたままうまく伝わっていた。

「前も言ったが、もしお前の希望があれば留学という形でもいいと思うんだがな....」
「ちょっと、入学したばかりなのにそれはかわいそうよ。沙耶ちゃんもそう思うよね?」


まだ初対面なのにこうしてフレンドリーに話しかけてくれるのは、彼女の性格故か、それとも海外で暮らしている人の特性なのだろうか。


『あ.....はい。私も流石に留学までは、』
「そうそう。後沙耶ちゃんが雄英に入ってるなんてのもびっくりしたのよ。すごいのね。」
『あ、りがとうございます。』


まるで自分の事のように話してくれる。

嬉しいけれど、どこまで話していいのだろうかと迷う。


「そんなにかしこまらなくてもいいぞ?なんでも気楽に話してくれ。」


あはは、と笑い声と共に食事をする風景をぼんやり見つめていた。

父がこんなに自然に笑っているなんて.......初めてだ。

.....なんだか、私が夢見ていた幸せな家族みたい。


『.....えっと、そういえば父とはお仕事であってらっしゃったと聴きました。』
「そうなの。結構長い期間になるかもね。だからあなたのことも少しは聞いてたの。優しく真面目でいい子だって」
『そう、だったんですね。ちなみにどの時期から、』
「うーん、十数年ってとこかな?」


十数年、そんなに昔から?

そんな長い期間から交際していたの?

ふと、疑問が湧く


「そうそう。だから、こうしてようやく会えて嬉しいわ。」
『....あ、はい』

疑問を一旦消し去る。

「あ、そうそう。話のついでに沙耶ちゃんには急遽お知らせしなくちゃいけないことがあって」

そうにっこり話す内容はなんだろうと耳を傾けた。


「ふふ、言い忘れててごめんなさいね。」


彼女は本当に幸せそうに笑ってこう話した。


「私来月に彼と結婚式をあげようと考えているの。」


.....


.............え?



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