第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
オールマイトが去った後、
「もう心配した!意識不明になってたとか、怖すぎるって!」
『‥‥誕生日プレゼント渡せなくてごめん』
「そんなのはどうでもいいっての!」
普通科のクラスメイトには自分が誘拐されたという正確な情報は伝えていない。
そこら辺の辻褄合わせは、私が目を閉ざしている間に雄英側で対応したと耳にした。
自分が攫われたという件に関して知っている人は、雄英の先生、校長先生、それと…爆豪くん関連で関わった一部の1年A組という事だろうか。
オールマイトが言っているように、私の身の安否のために、他言無用という事にされている。
少しだけ涙しながら、軽く叩いてくる友達に謝罪した。
色々心配をかけてしまって、ごめんね。
「体、大丈夫?」
『…。大分よくなったよ。ありがとう。』
「…最近、体調があまり良くないのは知ってたけど、意識不明になるぐらいやばかったの?」
『…あ、うん。そう、みたい。』
本当はそれ以外にもいろいろあったけど、話してはいけないと言われているので我慢せざるを得ない。
『もう少ししたら、雄英にもちゃんと戻れると思うから、安心して』
「わかった。」
安心したのか、とりあえず、普通科のクラスメイト達もその場から去っていく。
「‥‥一条、」
『…どうしたの?』
「戻ってきたら、話したい事がある。」
『‥‥え?』
話したい事って、なんだろう。
『えっと、私何か問題起こしてた?』
「そうじゃない。…別に、そんな深刻な話じゃないから安心してもいいよ。」
『そう、なの?』
という割には、心操君の顔、凄い真剣だった気がするけど、
「じゃあ、また学校で、」
『あ、うん…』
その言葉を残して心操くんはその場から去っていった。
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急に静かになった気がする。1人ぽつんとその場にいる感覚は、少し孤独を感じられた。
私はぼんやりと家族の事を思い出していた。
『‥‥お父さん、来るわけないか。』
家族にも他言無用になっているし、そもそも私が誘拐されたという情報も封鎖している。
‥‥お父さんは、滅多な事でもない限りこっちに来る事はあまりないのは知っているからだ。
‥‥とはいえ、
今は、誰かと話でもして気を紛らわしたかった。
ー君は個性持ちになる事に興味はないかい?
あの事を思い出しそうだったから、