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【ヒロアカ】幸せな恋の諦め方【轟焦凍】

第4章 自覚と決着【過去編】



『…何、これ』

 轟くんに近づくな、という文言の手紙が靴箱の中に入っていた。今までは直接的に自分だけを攻撃していたのに、一体どういう心境の変化なのだろう。

 そして、クラスに入ると私の机に明らかにゴミや液体物が散らばっていた。しかも机に様々な暴言の落書きがされているのを見た。

『…』

 自分一人の問題だったら、何とか耐えようと思っていた。でも被害はないにしろ、轟くんにまで事態が広がろうとしているのが恐ろしかった。

『どうしたらいいのかな、』

 解決策を見つけられないまま、頭が真っ白になるままだった。

 とりあえず何とか机の落書きを可能な限り消して、後は本で誤魔化して授業に望んだ。特定の人物のヒソヒソ声がしたが、不安で何も聞こえなかった。

 昼の時間になり、私は作ってきたお弁当を持って轟くんの席に行った。心ここにあらずだったが、せっかく作ってきたんだししっかりしなくてはという気持ちで彼を見つめた。

『轟くん』
「…来たか」
『うん、』

 轟くんに近づくなという文言が気になるが、約束事を破るわけにもいかないし、とりあえずその件は一旦置いておこう。

「…屋上に移動するぞ」
『どうして?』
「ここで食べてもいい気しないだろ」

 それは、こないだのお弁当の件を考慮してだろうか。気を使ってくれて嬉しかった。

 屋上に向かいドアを開けると、かなり熱い天候の影響であまり人はいなかった。影がある場所へ移動し、包んでいた弁当箱を取り出して彼に渡した。

『麺つゆも入っているからゆっくり開けてね。』
「お前、弁当は」
『もってきてるから、先に食べていいよ』
「…なんでだ」
『…えっと、感想を先に聞きたいから、です。』

 私の目的はおいしいと思える食事を作ることにある。だから、彼から「おいしい」と言ってもらえることでそれが達成できるわけだ。少し緊張する。ちゃんと味も確認したから大丈夫だと思うけど、

「うまい」

 彼が先に食べたのはそばからだった。そんなに好きなんだね、そば。

「お前料理上手いんだな」
『そばは…まあ茹でるだけだから、』

 感心しつつ淡々と食べる彼の姿に思わず微笑んだ。
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