第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
もう3日も経っていたという状況に驚きながらも、ゆっくりとベッドへ横になった。
あれからどうなったのか調べたくて、携帯を取ろうとしていたが、そういえば、あの継ぎはぎの男性に壊されていたんだと知った。
‥‥今更、あの事を思い出して体が震える。
継ぎはぎの人もそうだし、
あの…黒いマスクをかぶった人も、そうだ。
『…個性、』
あの人は、個性を与える事が出来ると言っていたが、正直リスクが大きすぎるのは、自分でもわかる。
それでもあの提案をしたという事は、私の弱点を利用しようと思ったからだろう。
『‥‥忘れよう。』
あの事について、これ以上自分が深堀するべきではない。
そう感じ取った。
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その後、私の意識が取り戻したという事で、警察の方が何人か聴衆のためにやってきていた。
塚内さんという人は深刻な顔で資料を確認していた。
「…それにしても、ヒーロー科のみならず、他の科の生徒まで被害が及ぶとは…君の助けがだいぶ遅くなってしまった事。申し訳なかった。」
『…い、いえ…私は、』
「連れ去られた時に、何かヴィランの動きで気付いた事があったら、ぜひ教えてくれ」
気付いた、事‥‥
私は巡り巡って色々気になる点が頭を過った。
そういえば、あの継ぎはぎの人、
エンデヴァーさんの事、呟いていたような、
それに、
あの黒いマスクをかぶった人、
個性を与える力があると言っていた。
ちゃんとヴィランの情報を伝えないと、
そして、それを口に出そうとしたときだった。
ーーーーーー駄目だよ
『‥‥?!』
誰かの警告の声が聞こえると共に心臓が鷲掴みにされたと思ったら、急に言葉が発せなくなる。
息が苦しい。
『‥‥はっ!、っつ』
どういう事?急にどうして、
「大丈夫かい?」
『‥‥っ、すみ、ません』
「怖い想いをしたところでこういう事を聞くべきじゃなかったな。すまない。」
違う、
違うんです。塚内さん!
そう言いたいのに、何故か口が開かない。
‥‥まさか、
(‥‥口止め、されている?)
ヴィランの恐怖を感じた。