第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
※荼毘視点
ワープで移動し、無事脱出した後、しばらくの移動が制限される中、今回の件で色々考えていた。
(‥‥今回は失敗したか。)
ヒーローが来なければ色々とあの女を利用して焦凍をおびき寄せたかったが、まあいい。
あの大ボスには駒として提供したわけだし、いずれにしろ種は色々撒いておいた方がいいだろう。
あの女が今後駒として使え物になるかは謎だが、計画の利点になるならば使えるもんは全部利用する。
(‥‥さて、)
俺は俺で次の計画を考えるとするか。
焦凍、
ひいてはその先にある
エンデヴァー。
お前を地獄に落とす方法を、な。
※一条視点
家族。
それは私にとって自分とのつながり感じる唯一無二の存在だった。
でも、無個性だった私が原因で家族は崩壊してしまった。
ずっとそれが無念で、罪悪感が消えなかった。
あの幸せな暮らしにはもう戻れないのはわかっている。
だから、せめてできる事を頑張って、何かを家族に返していきたかった。
そう願う事が私の唯一のできる事だったし、自分も将来は誰かの助けになりたい。そう真剣に願っていた。
だけど、
たまに、時々、その思惑とは裏腹に、別の事を考える事がある。
何もかも捨てて、この場所から離れて、
自由に、なりたいって。
「個性を持っていれば幸せになれたのかな?」
そんな愚かな考えを割り切れないまま、巡り寄せて、
=====
『‥‥ここ、は…』
私が目覚めた先に見えたの遠い白い天井だった。
ぼんやりとそれを見つめながら、少しずつ状況を整理するために頭が働く。
‥‥そうだ、
私は‥‥気を失っていたのか。
でも、ここは一体、どこ、
「目が覚めたんですね!」
声を頼りに振り返ると、その女性は安心したかのようにこちらへ近づく。
「熱も引いたみたいですね。安心しました。」
『ここは‥‥どこでしょうか?それに私、別の場所にいた、はずじゃ、』
「ここは病院ですよ。あなたは3日ほどずっとうなされていました。」
『‥‥え?』
3日…3日?
もうそんなに日にちが経っていたの?
しかも病院ってことは…あの監禁場所から無事離れたって事でいいの?
『‥‥うっ、』
「まだ起きてそんなに経ってませんから、慣れていないでしょう。今はゆっくり休んでください。」