第11章 逃走と真実【原作編(合宿/神野)】
作戦内容について、緑谷が説明する。
緑谷の個性と飯田のレシプロで推進力、切島の硬化で壁をブチ抜き、開けた瞬間俺の氷結で道を形成し、なるべく高く跳べるようにする。
ヴィランが俺たちに気づいてない事を逆手に取り、手の届かない高さから切島が爆豪に手を取る。
大まかな内容はこうだ。
緑谷はある程度説明したの後、目線が俺の方へ向いていた。
流石に俺が何を考えているかわかっているみたいだった。
「‥‥一条さんの事について、だけど。」
「‥‥ああ、‥‥俺が何とかする。」
「うん、よろしくね。」
緑谷も俺の意図を理解したかのように軽く相槌をしていた。
「どうするおつもりですの?」
「氷結にヴィランが視線を向いているタイミングを見計らって、アイツを助けにいく。…どっちにしろ、俺しか融通が利かねぇからな。」
緑谷、飯田、切島はどうしても爆豪奪還の作戦に必要な陣営だ。そうなると、氷結を作った後に自由が利く俺が動く他ない。いや、元よりそうするつもりだ。
「わたくしも一緒についていきますわ。」
「…ああ、方向誘導頼む。」
(‥‥一条、待ってくれ)
俺をそう思いながら、巨大な氷結を作り出した。
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氷結を作り出した後、俺は緑谷たちが爆豪に手を伸ばす瞬間を見届け、その場を後にする。そして向かう先はアイツが倒れている場所だった。
「急ぐぞ。」
幸い、ヒーローもヴィランも視線は爆豪の方に向いている。アイツを救出するのには良いタイミングだった。
「いましたわ!」
『…一条っ!』
大きく叫んではいけないのはわかっていても、荒げそうになりそうだった。
そこにいるアイツの姿はあまりに悲惨だったからだ。擦り傷があちこちに残っており、水を浴びたのか衣装は体に密着している。
『八百万!お前は先に俺たちの状況を緑谷に連絡しろ。爆豪奪還は無事成功したから、どこかに移動しているはずだ。』
「わかりましたわ。」
俺は無事コイツを確保した事を伝えるべく、八百万に指示しる。連絡している間、気を失っているコイツを腕に抱える。
『‥‥?!‥‥熱い。』
コイツの体は異常なほど熱かった。
「‥‥っ、ぅ、」
何かにうなされているような、息が荒い状況だった。
(…っ!)
こんな風になっていたのに、俺は一体何をしていた?
そんな悔しさが残った。